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まもなく北半球6か国対抗が開幕する。2月3日は、イングランド対スコットランド、イタリア対フランスの試合が行われるが、イングランドSOジョニー・ウィルキンソンが復帰する。2003年ワールドカップでチームを優勝に導いたスーパースターだが、あの決勝戦以降は負傷続きで代表ではプレーしていなかった。アシュトン新監督の賭けでもある。さて、どう出るか? でも、これで楽しみが増えた。
後ればせながらマイクロソフト杯準決勝の東芝対トヨタ自動車の録画を見た。花園の試合も面白かったが、こちらも激しい試合だった。得点経過だけを文字で見て想像したより、もっとトヨタが仕掛ける時間が長かった。東芝のモールをがっちり止めていたのも印象に残った。WTB遠藤のパワフルなランニングや途中からSOに入ったアイイの質の高いプレーも見応え十分。接点の強さも東芝に引けをとっていなかった。
その猛攻を耐えた東芝各選手の冷静なプレーぶりは、さすがに王者。FL渡邉、CTBマクラウド、冨岡らのベテラン選手は当然のことかもしれないが、SO廣瀬やWTB吉田など3年目の選手も落ち着いてボールを動かしていた。廣瀬のボディバランスの良さには恐れ入る。173㎝、77㎏とは思えない腰の強さでボールをつなぐし、キック力もあり、日本代表入りへ猛アピールである。サントリーとヤマハ発動機の試合でも感じたのだが、この4チームの実力差は僅かなものだ。日本選手権ではどうなるか分からない。
土曜日の夜に放送された「NHK スポーツ大陸『魔術と呼ばれた組織プレー ラグビー・大西鐵之祐の伝説』」も録画で見た。名将がいかにして世界と戦おうとし、実戦したのかがコンパクトにまとまっていた。ジュニア・オールブラックス(23歳以下NZ代表)に勝ち、イングランド代表と互角の勝負を繰り広げるなど、今では考えられないことである。ましてや体格差は当時のほうが大きい。大西さんのことを知らない世代には、いい刺激だろう。若い選手にも見てもらいたいと思った。再放送もあるので、ぜひ。
1968年のNZ遠征や1971年のイングランド代表来日試合などの映像で何度も「接近プレー」が出てきた。極限まで相手に接近してパスを出し、防御を突破するプレーである。現役の選手達がいかに相手をかわすかということを考える上でも貴重だと思った。番組の中でも登場した接近プレーのスペシャリスト横井章さんには何度かお話を聞いたことがある。横井さんは、今もさまざまなチームに関わって接近プレーを後世に伝えようとしている。今年度の全国高校大会では、京都成章の選手が防御ラインにぎりぎりまで接近してパスし、パスを受ける選手はその直前に、すっと外側に伸びて抜けたトライがあった。横井直伝の接近プレーは今も生きている。見ていて嬉しくなった。
体格的には大きくなった日本選手だが、手足の長さやパワーではどうしても太刀打ちできない面がある。だとすれば、やれることは限られている。逃げずに勇気を持って相手の懐に飛び込み、こちらの間合いで戦うことだ。JKは、あの映像、見てくれたかなぁ。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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