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前日、関東学大の春口監督は言っていた。「早稲田有利でしょう。でも当たって砕けろという気持ちじゃない。自分たちの力を強い早稲田に思い切ってぶつけてみる」。その言葉通り、関東学大は、ブレイクダウン(ボール争奪局面)で猛プレッシャーをかけ、両LO北川、西のツインタワーを生かしてラインアウトを制圧。終始、早大にプレッシャーをかけ続けた。最終スコアは、33-26と接近したが、ほとんどの時間、ゲームを支配する快勝だった。早大の3連覇を阻止しての3大会ぶり6度目の優勝である。心から拍手を贈りたい。
前半、キックオフ直後からしばらくの猛攻、そして、吉田キャプテンからの3連続トライ。一人一人が着実に前進してボールをつなぐ力強さと集中力。ほんとうにのびのびと力を出し切っていた。秋のリーグ戦からの成長には驚かされたし、早大をここまで圧倒するとは想像できなかった。10年連続の決勝進出を果たした春口監督の勝負魂を見せつけられた思いである。攻守に意思統一され、選手の動きにまったく迷いがなかった。
早大は、持てる力を発揮できず終い。東条、後藤というリーダーが次々に倒れ、交代出場のFL松田も負傷退場という不運もあったが、それも、接点のところで常に関東学大に押し込まれていたからだった気がする。ラインアウトの劣勢を最後まで修正できなかったのも敗因だろう。最後にCTB今村が意地のトライを返したが、今村がいい形でボールをもらうシーンがほとんどなかったことが、早大の劣勢を表していた。「すべての面で関東学院が上でした」。バイスキャプテンとして会見に出たWTB首藤も完敗を認めた。
試合後、グラウンド上では関東学大のCTB高山と、早大のSO曽我部が抱き合って互いの健闘を称えていた。2人は啓光学園時代の同期、ともに大学では怪我に泣かされたことも共通している。「いい試合やったな」、「ほんま強いな」、「まだ日本選手権もあるし、一緒にやっていこうな」。そんな言葉を交わしたそうである。そう、両チームのシーズンはまだ終わっていない。
◆13日の試合結果
・トップリーグ第13節
サントリーサンゴリアス○69-5 ●福岡サニックスブルース(前半45-0)
・大学選手権決勝
早稲田大学●26-33 ○関東学院大学(前半12-21)
・第30回高校東西対抗試合
東軍○45-24●西軍(前半17-19)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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