人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

ラグビー コラム 2006年9月17日

アルウィンの激闘

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
  • Line

土曜日、僕は松本に行った。松本平広域公園総合球技場(アルウィン)でのトップリーグ2試合を見るためである。三洋電機ワイルドナイツのグッズ販売のテントに榎本キャプテンを発見。

あれ? どうして? 
「あっ、今年からこれが役目なので」
いつのもことながら、榎本キャプテンには煙に巻かれてしまう。怪我からまもなく復帰のようなのだが、本人は「僕は温存されているんです」と言い張っている。

小雨が降りしきり、半袖では耐えられないほど肌寒かったが、グラウンドの戦いは熱かった。

まずはセコムラガッツがNECグリーンロケッツに、互角の好勝負を見せる。互いに2トライずつの13-17で前半を折り返し、後半5分には、SOアパヌイが約40mのPGを決めて16-17と1点差に。しかし、ここからNECの粘り強さが出て、セコムゴール前のラインアウトからのモールを押し込み、FLマーシュがトライ。24-16と引き離すと、あとはSOヤコ・ファンデルヴェストハイゼンのキックで陣地を挽回しつつ、最終的には4トライを奪って勝ち点「5」をゲットした。セコムはディフェンス面でもよくプレッシャーをかけていたが、後半開始早々にFWの軸であるFLカウチが膝の負傷で退場したのが痛かった。それでも、十二分に勝利の可能性を感じさせる戦いぶりだった。

さらに熱かったのが第2試合のクボタスピアーズ対三洋電機ワイルドナイツだ。前半1分、クボタSO伊藤が先制PG。クボタFWがNO8ケフを軸に圧力をかけていく。三洋はつなぎのミスが出て、なかなかリズムに乗れない。CTB渡海谷のトライと伊藤のPGで、前半27分の時点で13-0とクボタがリード。しかし、三洋もWTB北川の2トライで14-13と逆転に成功する。34分の北川のトライは圧巻だった。ハーフウェイライン付近からのカウンターアタックで次々にタックラーをかわして50mを走りきってしまったのだ。彼のスピードは桁外れである。50m5秒7の俊足はこれからも各チームの脅威になるだろう。

流れは三洋にかたむき、後半の立ち上がりも三洋ペースだったが、ここでクボタが粘り、一進一退の攻防で試合はもつれる。後半18分、三洋SO入江のPGで、20-20の同点。以降は、両チームが意地を見せ、緊迫のせめぎ合いが続いた。試合を決めたのはクボタSO伊藤だった。後半37分、CTB吉田の防御背後へのパントを追いかけると、三洋陣22mラインを越えたところでボールが胸にすっぽり。そのまま走りきって、インゴールになだれ込んだ。これで25-20とリードしたクボタが、しぶとくタックルして逃げ切った。実は、伊藤はこの直前にインゴールにボールを持ち込んだ際にノックオンと判定されており、悔しいミスを自ら取り返したことになる。CTB吉田英之の瞬時に間合いを詰めてのタックルは、たびたび三洋のチャンスの芽を摘んだ。互いに攻め合う、いい試合だった。

試合後、観客席で涙するクボタの副部長・荻窪さんの姿があった。昨年はチームを率いながら勝ち運に恵まれなかっただけに、選手達の頑張りに感極まったようだった。クボタは4節でサントリーと対戦する。これ、面白い試合になりそう。

試合途中、ヤマハ発動機ジュビロがリードされているという情報が入った。驚いたが、それだけトップリーグの実力は拮抗しているということだ。コカ・コーラの戦力は、上位チームもけっして侮れない。今後も上位崩しを狙ってもらいたい。サントリーは大勝。ヤマハ戦の敗北からいいリスタートを切った。

取材後、元東芝府中ブレイブルーパスの日原大介さんに会う機会があった。トップリーグ初年度の得点王であり、昨季はSOとして東芝の3冠達成に貢献した。この春、東芝を退社し、家業を継ぐために山梨に帰っていたが、今は、薬卸の会社、やまひろクラヤ三星堂・松本支店に勤務。将来のための修行中だ。体重が5キロほど減ったらしく、細く見えたけど、ジムには通っているらしい。「15年間、毎日汗をかいていたのに、汗をかかないということが気持ち悪くって」。きっと、そのうちクラブチームで始めるんだろうなぁ。

◆トップリーグ第3節(9月16日)試合結果
サントリーサンゴリアス○56-15●日本IBMビッグブルー(前半14-3)
セコムラガッツ●21-31○NECグリーンロケッツ(前半13-17)
クボタスピアーズ○25-20●三洋電機ワイルドナイツ(前半13-14)
ヤマハ発動機ジュビロ●13-22○コカ・コーラウエストレッドスパークス(前半13-8)

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ