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6月17日、日本代表対サモア戦。ニュープリマスのヤロースタジアムにて。後方に見えるのがはメインスタンドで、バックスタンドのほうが観客はたくさん入っていた(観客数=4,200人)。朝から雨が降り、試合開始直前には晴れ間ものぞいたが、気温10度前後、次第に下がっていったと思う。記者席はバックスタンドの観客席最上段にあったのだが、寒さで手がかじかむほどだった。
サモア戦前の1週間、日本代表は前に出るディフェンスに重点的に取り組み、この日のキーワードも「プレッシャー」。密集周辺のディフェンスを固め、激しく前に出て相手に攻撃するスペースを与えないのが狙いだ。サモアSOヴィリのキックオフで試合は始まったが、さっそくCTB守屋が低いタックルで反則を誘う。以降、25分までは日本の出足の良さがサモアに有効な攻撃を許さなかった。スタンドからの歓声と拍手が日本健闘の証だった。
SO安藤の2本のPGと好判断のDGで9-5とした直後も、守屋のタックルとNO8木曽のボールへの素速い仕掛けで前進しサモアのゴール前へ。ここからのモールでオブストラクションの反則をとられたのは痛かった。以降は次第にサモアの連続攻撃が出始める。健闘したNO8木曽が言っていた。「サモアのコンタクトの強さに足が止まって、一歩二歩と出遅れるようになりました。でも、このままならいつもと一緒や、と声を掛け合いました。気持ちは最後まで切れませんでした」。残り10分、サモアの波状攻撃を食い止めたところに選手の意地が見えた。
「最初の25分は練習の成果が出ました。あと55分は課題です」とエリサルドHC。トライがとれない攻撃面について報道陣から問われると「攻撃選択が適切ではなかった」と、判断ミスをあげたが、大畑など決定力ある選手が欠けていることも要因にあげていた。
攻撃面の課題は相変わらずだが、ディフェンスに関してはよく前に出たし、スクラムも次第に向上している。徐々に良くなっていることは確かだ。ただし、再々前に出る好タックルがありながら、2番手、3番手が続かずにつながれてしまうシーンは多々あった。前に出るディフェンスにはそれなりのスタミナが必要だ。辛抱強く毎試合これを続けていくしかない。

試合直後、テレビのインタビューを受ける大野選手。キャプテンとして身体を張ってチームを牽引した。下は、サモアのマイケル・ジョーンズHCと、キャプテンのN08シティティ。ジョーンズHCは「前半は日本のディフェンスが素晴らしかった」と賞賛していた。

今回も痛感したが、一瞬の迷い、たった一つのミスが即失点につながる。世界で勝つためにはプレーの正確性は何より重要だ。特に個々の強さでは劣る日本は細かなプレーの精度が生命線になる。日本国内の試合でもここはこだわってほしいし、トップリーグでも、もっと素速く前に出るディフェンスが主流になってもらいたい。それにしても、ジュニアやサモア、トンガのメンバーを見ていて、この顔ぶれの中に日本代表が入っていることの貴重さを再認識する。この中に入って得られることの多さは限りない。だからこそ、やることを明確にして課題を検証、修正していけるよう、内容のあるゲームをしてほしい。

基本的に曇り空だったのだけど、一瞬、顔をのぞかせたマウント・タラナキ。日本を知る人たちは、「ニュージーランドの富士山」と呼んでいるようだ。それにしても寒かった。北島のニュープリマスでこれだと、南島のダニーデンはどれだけ寒いのか。ちょっと怖くなってきた。
第2試合は、ジュニア・オールブラックス対トンガ代表。記者会見を終えて、試合を見たら前半30分時点で、10-3とジュニアのリード。一対一の当たりでまったく見劣りせず、堂々と戦うトンガに感心した。しかし、ジュニアのボールつなぎの上手さは、今大会も群を抜いている。いつのまにか点差は広がった。来週は、日本がジュニアにチャレンジだ。本日同様、低く素速いタックルをやり続けるしかない。
いまスタジアムの記者室です。取り急ぎ、こんなところです。では、また明日。
◆試合結果
サモア代表 ○53-9● 日本代表
ジュニア・オールブラックス○ 38-10 ●トンガ代表
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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