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ラグビー コラム 2006年3月8日

自信

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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きのうは書く時間がとれずに日記を休んだ。3月1日の誕生日に初めて休んで以降は無理をして連日更新はしないと宣言していたのに、夜、ものすごく気になった。小心者である。きっとこれが僕の連日更新の原動力だったんだろうなぁ。

きのうの昼間、スーパー14のハリケーンズとチーターズ戦を収録したのだが、これ、面白い。チーターズは、フラットなパスを何度も通してゲインしたし、ハリケーンズのBKもタレント揃い。WTBファアタウがスーパープレーを見せてくれる。ファアタウはサモア代表の選手なので、6月の日本代表戦にも出てくる可能性がある。彼のランニングスキルは要注意。この他にも、トンガ、サモア、フィジー、NZジュニアと、夏までに日本代表が対戦するチームには、スーパー14レベルの選手がたくさん入ってくるので、これを見ていれば日本代表の試合も楽しく見られるかな。チーターズ対ハリケーンズの試合は、3月16日、 J SPORTS 3で22:00より初回放送です。

夜は『第3回ワセダクラブ・シンポジウム』に行った。冒頭は新監督、中竹竜二さんの挨拶、そのあと前監督の清宮克幸さんが過去5年の監督生活を振り返る講演、そしてコーチ陣を交えてのトークセッションである。僕はこのシンポジウムの進行役をやったのだが、ワセダクラブ員限定の会なのにお客さんが多くて驚いた。400名以上で満員になっていた。清宮さんは、会の直前に著書のサイン会もやったのだが、早稲田の「監督」と書くのはこの日が最後ということで、ファンの方には貴重なサインになったようだ。

トークセッションでは、後藤コーチや、ゲストの藤島大さんが、今の早稲田の強さについて「自信」を取り戻したことをあげていた。その自信を植え付けたのが清宮ワセダの5年間だったということだろう。逆に、他の大学は自信を失っているということで、そこが選手個々の能力差以上に点差が開いてしまう、ひとつの要因なのかもしれない。

僕が卒業した大阪体育大学も、まだ大学日本一になっていないわけで、そういうチームが確固たる自信を持って勝利を目指すのはなかなか難しい。だからこそ、一試合一試合大切に勝利を積み重ねるしかない。その勝利にも裏付けがないといけないということなのだろう。着実に自信をつけていった早稲田の5年間を見ていて改めてそう思った。

◎愛好的読書日記
【アゴタ・クリストフ自伝 文盲】(堀茂樹訳 白水社)読みました。10数年前にアゴタ・クリストフの【悪童日記】を読んだ。祖国ハンガリーを逃れ、難民となったのち作家となる彼女の乾いた筆致が強烈に印象に残った。小説なのに主人公の心に入っていかない書き方に憧れた。実は彼女のある言葉をコピーして、もう10年近くデスクの前に貼っている。書き方に悩むと、それを読む。今回の自伝は、祖国という面でも思うところが多かった。どんな過酷なことが待っていようと「自分の国」に帰る人がいる。著者は自分の国を捨て心を引き裂かれる。うまく表現できる言葉が見つからないのだけど、「故郷」ということについて考え込んだ。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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