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ラグビー コラム 2006年2月9日

選手選考について

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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水曜日は専門学校の講師の日だったのだが、2月8日が最終日ということになった。毎週受け持っていたライター講座が今期最後だったので、先週のスポーツ文化論に引き続きこれですべて終了である。文章の書き方の基礎的なことや心構えを話してきたのだけど、未熟者の僕の話をみんなよく聞いてくれた。毎回いろんなテーマで課題を出し、添削してアドバイスすることを繰り返した。どんどん上手くなっていく学生がいると本当に嬉しかった。ブログを読んでくれている学生もいるようだ。ありがとう。一緒に撮った写真を持って来てくれた学生もいて嬉しかった。部屋に飾っておくね。この日記は口語体だから、スポーツのレポートを書くときには真似しないように。よろしく。

さて、日本代表について、きのうの日記では説明不足のところがあったので補足しておきたい。まず、日本代表が今年のターゲットとしている「W杯アジア予選突破」だが、これは11月にスリランカで行われる試合を指している。2007年フランスW杯のアジア予選は4回行われることになっていて、2004年、2005年と1回ずつ開催されたので、2006年は2回行われる。4月が3回目で最終予選が11月になるわけだ。もちろん、最終予選はディビジョン1の3か国で行われるから、それまでの3回の予選でディビジョン1の3チームに入っていないといけない。たとえばもし、4月の予選で韓国に負け、アラビアンガルフが韓国に勝ち、三すくみになって最下位ということになると、ディビジョン2の1位と自動的に入れ替わる。つまり、その時点でW杯出場権を失うわけだ。だから、決して侮ってはいけないのである。最終予選では、ディビジョン1の1位が自動的にW杯出場。2位は敗者復活戦に回る。2007年W杯2勝の目標を達成するために、予選だけは慎重に戦わなくてはいけないのだ。

なお、テレビ放映についてはっきりしたことは言えないのだが、過去の例からいって、JSPORTSは最終予選は放送するはず。また、春のアウェイのテストマッチも放送する方向だと聞いている。

有賀選手が選ばれなかったことについては記者会見で報道陣からも質問があった。エリサルドHCの説明はこんな感じだった。「有賀選手については、昨年の7人制日本代表でも素晴らしいパフォーマンスを見せました。能力は高いと評価しています。しかし、15人制のパフォーマンスを見たかぎりでは今回入らなかったということです。今回のメンバーで95%はW杯に向かいたいと思いますが、まだ新しい選手の入る余地はあり、彼もその候補でしょう」。僕も有賀選手は入ってもいい実力があると思う。だからといって今回FBで選ばれた選手が有賀選手より劣っているかといえば、そうは思わない。これは僕の考えだが、選手選考はコーチが作りたいチームに合う選手を選ぶものだし、コーチの色が出て当然だと思う。誰もが納得できる選考というのはなかなか難しい。

今回の選考について太田GMは説明した。「代表の選考にあたっては、ジャン・ピエール・エリサルドヘッドコーチ(HC)以下、永田、中山両コーチと私を含めてスカウティングをしてきました。特にトップリーグ、マイクロソフトカップ、大学選手権については、この4人でほとんどすべての試合を見ました。ボールキープ力のある選手、タックルの出来る選手を候補として、我々が目指すアダプタビリテ(適応)を体現できる選手を選考しました」

僕は日本代表に遠く及ばない選手だったから自分に置き換えるのは申し訳ないのだけど、選抜チームに選ばれなかった時やレギュラーから外された時などは「俺のほうが絶対に上手い。見返すしかない」と思っていた。今回外れた多くの選手もそう思っているはずだし、選ぶ方も辛い気持ちがあっただろう。そういう厳しい世界に彼らは生きている。選考結果が発表されるたびに僕も神妙な気持ちになる。選ばれた選手は意気に燃え、選ばれなかった選手はさらに精進する。2007年W杯までは17か月ある。これからのプレーぶりで必ず新しい選手が入ってくるはずだ。選ばれなかった選手達の奮起がさらに日本代表を強くすると思う。僕はそれを見ていたい。

追記◎IRBの国代表規定では国籍は問わないので、他国でも国籍の違う選手が代表になっていることはあります。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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