人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

ラグビー コラム 2005年9月29日

モールのこと

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
  • Line

きのうの日記への質問に答えます。「悲しくてやりきれない」という歌は、もともとは、1968年、ザ・フォーク・クルセダース(端田宣彦、北山修、加藤和彦)のヒット曲です。その時は僕も小さかったから覚えていませんが、知らず知らずのうちに耳に残っていました。それが、映画パッチギ!を観たあと、その映画館でサントラ盤を買ってしまいました。なんか、懐かしくなったんですよね。

モールのルールに関しても質問があった。

「モールは前進が止まって5秒たつと相手ボールのスクラム、ということですが、横に動くのは前進と見なすのですか?」という主旨だった。質問してくれた、のびたさんは、かなり詳しい方のようですが、前提条件から簡単に書きますね。

モールというのは、ボールを持っている選手に双方のチームから一人ずつがバインドしたのが、もっとも小さな形。つまり、両チームから3人が組み合ってボールを奪い合っていればモールとみなされる。「前進」というのは、ボールが前に動いている状態だから、真横に動いているだけでは、前進とはみなされない。ただし、競技規則にはこんな書き方がある。

◎第17条6-(e)「モールの前進が止まっても、5秒以内であれば再びモールを前方に動かしても良い。モールを2回目に押しなおして再びモールの前進が止まっても、ボールが動いていることをレフリーが確認できる場合には、ボールが出るために適当な時間の余裕をレフリーは与えてもよいが、ボールが出なければスクラムが命じられる」

というわけで、モールが止まっていても、一度は押し直せるのと、二度目に止まった時も、ボールがそろそろ出るなぁって感じの時は、レフリーは少し待つ。また、スタンドからはモールが真横に動いているように見えても、レフリーが少しずつ前進していると判断すればそのまま続くわけだ。このあたりは、ラグビー特有の曖昧さがあるので、シチュエーションによってかなり違った判定に見える。大事なのは、ボールがきちんとコントロールされているかどうかということになる。

モールへ参加する選手は、モールの中の最後尾の味方の足の後ろから入ることになっているので、横や相手陣側から入るとオフサイドになる。モールで防御側がオフサイドをとられるのは、ほとんど横入りだ。モールをわざと崩したりするのも反則。正当に押し返さないといけないのだが、ボールを持っている攻撃側のほうが押す方向をコントロールしやすいので、どのチームも防御には苦労している。

モールは体格だけではなく、技術と選手間のコンビネーションが大切で、全盛期の神戸製鋼なんかは小さくても非常に上手く前進していた。

モールといえば思い出すエピソードがある。

僕の母校である大体大は、89年度に大学選手権でベスト4になったのだが、この時は、強力なドライビング・モールを武器にしていた。白黒の太縞ジャージーでモールを組んで押していると、スタンドから「お前ら、牛かっ!」と野次が飛んだ。大体大の選手たちは、それを聞いてモールを押しながら「それ、おもろいやん」と思ったという。以降、ペナルティキックからモールを組むサインは「牛」と名付けられた。牛は準決勝で清宮キャプテン率いる早稲田を大いに苦しめた。ウシかった〜。……すんません。

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ