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土曜日の午後、トライネイションズ第5戦の収録のため、JSPORTSのスタジオがある台場方面に向かった。首都高速を走りながら文化放送を聞いていたら、みのもんたが、谷村新司に「昴(すばる)」の歌い方を習っていた。カラオケに行きたくなった。
谷村さんは、山口百恵さんに「いい日旅立ち」を提供した時の秘話も披露していた。百恵さんが「いますぐ聞きたい」と言うので受話器に向かってギター弾きながら歌ったらしい。すごいやん、谷村新司。いい歌作ってる。谷村新司と言えば、僕ら世代はアリスだ。「冬の稲妻」とか、「チャンピオン」とか、フォークギターの教則本で練習曲になっていて、ジャンガジャンガとよく弾いた。それは、アンガールズやっちゅうの。
さて、トライネイションズである。元日本代表FL、山梨県の桂高校のラグビー部監督・梶原宏之さんとのダブル解説だった。梶原さんは現役時代からよく知っているのだが、愉快な人で、話すとかなり笑わしてくれる。面白かった。
午後4時20分、収録開始。オールブラックスのニューバージョンのハカに度肝を抜かれた。リードするウマンガの気合いの入っていたこと。この新しいハカは、‘Kapa O Pango’といって、チームのために作ったらしい。伝統的に行われてきたハカは、‘Ka Mate’(カマテ)というが、セカンド・バージョンとして作られたようだ。ウマンガのコメントによると、現在、NZ代表にはいろんな文化を背景にした選手が多く、新しいハカを加えたかったとのこと。マオリ文化に敬意を表してハカが演じられてきたと思うが、確かにフィジー、サモア、トンガなど、現メンバーの母国はさまざまだし、チームのためのモノがあってもいい気はする。
試合は、開始1分、FBモンゴメリーの先制PGで南アが先制すると、5分、NZのWTBロコゾコが、CTBメイジャーがチャージしたキックをキャッチして瞬時の加速。約40mを一気に駆け抜けた。しかし、9分には、南アの切り札WTBハバナがラックからのこぼれ球を拾ってトライ。10-7と南アがリードする。22分には、NZのSOマクドナルドがHOメアラムをサポートして逆転トライ。28分には、ロコゾコがゴール前10mくらいの距離をタックルを4人、5人とかいくぐってトライ。21-10とリードを広げた。
NZは、南アのディフェンスラインが激しく前に出てくるのに対し、FWの密集サイドをSHウィップーが再三突破し、SOマクドナルドも縦に走ってディフェンスの出足を止めた。もちろん緻密な分析による攻撃だと思うが、強烈なコンタクトを恐れずに前進するNZ選手達の気迫を感じた。ハイパントを多用したのも有効だった。ところが、前半終了間際にマクドナルドが、南アSHジャニュアリーにタッチキックをチャージされ、痛いトライを奪われる。
後半は、両者少し疲れたようでミスも多くなった。終盤いったん南アが逆転したが、最後は、NZがモールからメアラムが抜け出して決勝トライ。優勝決定を最終戦までもつれこませた。南アは7点差以内負けのボーナス点1を追加して、総勝ち点13、NZは4トライ以上のボーナス点と勝利で5点を追加して、10点。最終戦で豪州に勝てば、4点が追加されることになって自動的に優勝となる。負けたら、南アの優勝だ。
それにしても、凄い試合だった。実況席では、村上、梶原、土居の順で並んでいたのだが、ノーサイド直前には、梶原さんの足が土居さんの足を直撃。「下半身、大暴れです」と梶原さんも力が入りまくっていた。NZのプライドというか、勝利への執念は感動的だった。そして、敵地でNZを追いつめた南アの底力もまた恐るべきモノだった。見ているのも、力入ったよ〜。
僕は、どっちのチームも同じくらい好きだが、最終戦をNZに見に行くので、優勝決定が持ち越されて、正直ホッとした。これで最後も盛り上がるね。
◎トライネイションズ第5戦
NZ代表オールブラックス○31-27●南アフリカ代表スプリングボクス(8月27日)
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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