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NZUは別名「スカーフィーズ」とも言われるらしく、選手それぞれのスカーフ(マフラー)を結んでチームの結束を強める伝統がある。
試合前には兵庫県尼崎市の列車事故による犠牲者の方々への黙祷が捧げられた。そして、恒例のハカ(ウォークライ)が始まった瞬間、日本Bの冨岡キャプテンが先頭を切って前進し、続いて日本Bの全選手が肩を組んでNZUの鼻先まで歩を進めた。NZUのゲームキャプテン、NO8アロファも「あれで気持ちが高まった」と両チームの気迫が火花を散らした。平日の昼間とあって観客は、1,495人と少なかったが、好試合への期待が高まるパフォーマンスだった。
日本Bは、WTB金澤のPGで先制すると、SO大田尾、FB廣瀬らのキックで地域を進め、CTBニールソンらが思い切ってドロップゴールを狙うなど、地域的に優位に試合を進めた。しかし、なかなかトライに至らず、逆にNZUの連続攻撃でトライを奪われる。第1戦ではSOを務めたCTBサポルの、スペースをよく見たパス、ランニングに防御を翻弄されているように見えた。前半は17-3のNZUリード。
後半に入ると、NZUは温存していたエースランナーのヘレウァを投入。さらに波状攻撃を仕掛けて、後半11分のFLローのトライ時点で31-6までリードを広げた。しかし、日本Bはあきらめず、30分、相手ゴール前15mで得たスクラムから、サインプレー。右へNO8山本英児が持ち出し、すぐに左方向へサイドチェンジ。CTB冨岡がタックルを受けながらも左中間に手を伸ばした。キャプテンのトライで勢いづいた日本Bは、32分に投入されたWTB鈴木貴士が快足を披露。この日大活躍のFL佐藤幹夫が左タッチライン際を快走し、捕まってできたポイントから、大きく右オープン展開。最後は冨岡がラインブレイクして、絶妙のロングパス。これをキャッチした鈴木が右タッチライン際を駆け抜けた。気持ちのスカッとする攻撃だった。日本Bは終了間際にもWTB藤原がトライを返したが、最終的には23-38で敗れた。
「FWがまとまって前進もできたし、FW・BK一体となったトライもできた。きょうの出来には満足しています」。NZUベバン監督の言葉通り、メンバーこそ第1戦より落としていたが、ボールのつなぎはむしろ精度が高まっていた。
日本Bは前半はタイトに敵陣で戦い、後半ワイドに展開するというプランだったが、前半の失点が響いた。冨岡キャプテンによれば「ゲームフィットネス不足」。もともとフィジカルに差があるのだから、運動量で勝らなければならないのに、シーズン終了後、試合から遠ざかっている選手もいるため、激しいコンタクトが続くとどうしても足が動かなくなった。必然的に相手の波状攻撃を止め続けるタックルが一歩ずつ遅れて穴を作るシーンが多かったのである。
ただし、条件を考えれば最後までよく戦ったのではないか。日本Bというチームは、セレクション合宿で日本Aになれなかった選手たちであり、モチベーションには最初から問題があった。FWもすべて日本人でパワー不足は否めない。それを永田監督、小村コーチらが詳細なゲームプランを与え、冨岡キャプテンが「ポテンシャルの高い選手が多いんだから、胸を張って行こう」と盛り上げ、練習時間たった2日の中で、チームをまとめた。第1戦でも感じたことだが、NZUは日本のトップリーグの上位チームなら十分勝てるレベルである。日本Bでも数試合準備をしてからなら勝てただろう。最後の学生日本代表に向けては、NZUもベストメンバーを組んでくるが、いくつかの得点パターンを作り、若さで振り回せれば、勝利の可能性はある。
最後にオープンサイドFL佐藤幹夫の活躍をもう一度書いておきたい。法政大学時代から「タケオミ2世」と呼ばれた柔らかい突進は磨きがかかっているし、攻守の切り替えにもっとも素早く反応していたのも佐藤だった。ジャパンへ猛アピールとなったはずだ。ほんと、良かったよ。
5月8日の日本代表対香港代表戦からのテストマッチシリーズに向けて、南米遠征の日本代表27名に、NZUシリーズで活躍した選手が数名加えられる可能性は高い。学生日本代表の試合もじっくり見ておきたい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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