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最近の学生ラグビー界は、関東学院大と早稲田大のマッチレースが続いている。両チームがなぜ強いのか、早稲田に関する本はたくさん出ているが、4月15日、光文社新書で「関東学院大学・春口廣 強いだけじゃ勝てない」が発売になる。
著者の松瀬学さんに本を送っていただいたので、きのうさっそく読んだ。僕も取材しているので最近の話しは知っているが、31年前に監督に就任してからどんどん強くなっていく過程も細かく取材されているので、なるほど、関東学院の強さの秘密がよく分かるようになっている。
僕の場合は、例によって、昨シーズン、試合に出られなかった松本キャプテンのエピソードや、4年生が試合に出場する選手にあてた手紙のあたりで、もう涙腺が緩んだ。スポーツっていうのは、やっている選手にとっては残酷なところがある。頑張ってるだけじゃ試合に出られないからね。持って生まれた才能って、やっぱりあるし、与えられたチャンスをつかむ、つかまないは紙一重だ。
ずっと読んでいくと、春口監督のバイタリティーには感心する。チームを率いるというのは、大変なプレッシャーだよね。それとずっと戦っているんだからなぁ。以前、春口さんに話しを聞いたとき、サインするとき色紙に「楽美」と書くことを伺った。楽しくて美しい、それがラグビーだってこと。「美」の中には、泥の中でも突っ込んでいける男の美学も入っている。僕はこの話しがとても好きだ。
さて、この本の特徴は、関東学院の強さの秘密を早稲田のラグビー部OBが書いているところだろう。松瀬さんは、早明戦が空前の人気を誇った1980年台初頭の早稲田のプロップだ。プリンス本城さん達と同期。僕が大学生の頃は、大阪の共同通信社にいて、我らが監督坂田先生の家に部員数名で遊びに行っているとき、松瀬さんも訪ねて来られたことがあった。
「マツセや、マツセ」
学生の小声の反応である。つまり、学生ラグビー界では有名な人だった。2年前には「早稲田ラグビー再生プロジェクト」(新潮社)も上梓している。他にも、女子ソフトボールの宇津木妙子・麗華物語や、中国のドーピング疑惑を追った本など著書は多い。ライターとして凄いエネルギーを感じる人だ。
春口さんと松瀬さんのバイタリティーに、刺激受けまくりの読書であった。
僕も頑張ります!
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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