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準決勝で桐蔭学園に勝利した報徳学園
3月25日(金)から埼玉・熊谷スポーツ文化公園と熊谷ラグビー場で行われた第23回全国高校選抜ラグビー大会は3月31日(木)に報徳学園(兵庫)が、同校初だけでなく、兵庫県勢としては初の全国制覇で幕を閉じた。大会は1~2回戦は無観客で行われたが、準々決勝からは有観客で開催された。
ただ、開幕前から最後までコロナ禍の影響を大きく受けた大会となってしまった。まず、茗渓学園(茨城)と長崎北陽台(長崎)が、大会を辞退したことで1回戦2試合が中止となり、それにともない敗者戦も2試合が中止となった。
準々決勝に進出した流通経済大学柏(千葉県)から体調不良者が出たため辞退、準決勝に出場した佐賀工業(佐賀)も辞退、さらに決勝に進出した東福岡(福岡)も、1回戦で対戦したチームからコロナの陽性者が出たため辞退勧告を受け入れて、31日の決勝は行われず、報徳学園が優勝、東福岡が準優勝となった。
攻撃的なリードを見せた報徳学園SO伊藤
昨年から2年生中心だった報徳学園、1回戦は札幌山の手(北海道)に90-0、2回戦も長崎北(長崎)に78-0と大勝。準々決勝は不戦勝となり、準決勝では2017年から3連覇しており、準々決勝で花園王者の東海大大阪仰星(大阪)に勝利した桐蔭学園(神奈川)に、BK(バックス)の展開力で上回り36-21で勝利し決勝に進出した。決勝は不戦勝となったが、仕事人のFW(フォワード)とスピードのある選手が揃うBKはポテンシャルを感じさせて、冬の花園でも優勝候補の一角となるだろう。
初の全国制覇を達成した報徳学園の西條裕朗監督は「兵庫県のチームとして初めて全国大会で優勝できたことを誇りに思っています。今回の結果が兵庫県のレベルがさらに上がっていくきっかけになればと思いますし、(我々を)追い越してやろうというチームが出てきて、目標になれているのならうれしく思います。全国優勝ということには変わりはないので、その結果に見合うチームとして、プライドや思いを受け止めて、これからも成長していきたい」と初優勝の喜びを話すとともに先を見据えた。
3トライを挙げた東福岡WTB上嶋
また、コロナの影響で試合ができず、連覇を達成できなかった東福岡も、新チームはディフェンスに注力しているというだけに、1回戦で國學院久我山(東京)に32-12、2回戦は天理(奈良)に25-5、準々決勝は中部大春日丘(愛知)54-5と強豪相手に3連勝。準決勝は不戦勝、決勝は不戦敗となったが力のあるところを見せた。
大会序盤を盛り上げたのは伏見工業から名前が変わって初の全国大会出場となった京都工学院(京都)と九州でベスト4となり、実力で初めて大会に出場した福岡屈指の進学校の修猷館(福岡)の公立2校だった。
ゆずの岩沢厚治さんが作詞作曲の「紅歌」(こうか)を歌う京都工学院
京都工学院は1回戦で朝明(三重)に47-7で勝利し、2回戦は流通経済大柏に20-31で敗れたが、展開ラグビーで接戦を演じた。古豪・修猷館も、1回戦で伝統校の秋田工業(秋田)に31-10で勝利し、2回戦では桐蔭学園に0-31で敗れたが、前半、特にディフェンスで粘りを見せた。
また、初出場の2校も奮闘した。勿来工業(福島)は1回戦で尾道(広島)と対戦して0-107で敗れたが、最後まで戦う姿勢を見せた。1回戦は不戦勝だった立命館慶祥(北海道)も2回戦で年末の花園準優勝の國學院栃木(栃木)と対戦し10-45で敗れたが2トライを挙げた。
1回戦で天理と引き分けた石見智翠館(島根)、年末の花園は予選決勝で引き分け抽選の末、出場できなかった大分東明(大分)も、ベスト8には入れなかったが力のあるところを見せた。
トライを挙げる佐賀工業1年のWTB大
ベスト8に入ったチームでは準々決勝で、佐賀工業が國學院栃木に12点差を逆転してベスト4に進出。伝統のモールに磨きをかけつつ、ランやDG(ドロップゴール)でも得点を挙げることができるチームとして今後も楽しみだ。また、桐蔭学園は準々決勝で花園を制した東海大大阪仰星を破って存在感を見せた。東海大大阪仰星も昨年の選抜でも準決勝で敗れた経験を糧に成長しただけに、今季もここから成長する可能性がありそうだ。
優勝した報徳学園(兵庫)、準優勝の東福岡(東福岡)、3位に入った桐蔭学園(神奈川)、佐賀工業(佐賀)、ベスト8に進出した東海大大阪仰星(大阪)、流通経済大柏(千葉)、中部大春日丘(愛知)、國學院栃木(栃木)の8チームは予選を勝ち抜いて花園に出場した場合、A、Bいずれかのシード校となる予定だ。
今年の選抜大会はコロナの影響で十分に練習をすることができていないチームも多く、選抜大会が新チームになってから初の公式戦だったというチームもあった。いずれにせよ、今大会の試合経験を糧に、花園に向けて選抜に出場したチームが成長していくことは間違いなさそうだ。
東福岡の大川主将(左)と報徳学園の植浦主将
結局、決勝も閉会式も行われなかったが、決勝が行われるはずだった3月31日(木)、熊谷スポーツ文化公園にある、埼玉パナソニックワイルドナイツの練習場「さくらオーバルフォート」で報徳学園と東福岡が練習試合を行った。
東福岡は決勝戦の辞退勧告を受け入れたが、埼玉ワイツドナイツの協力で抗原検査とPCR検査の両方を行って全員が陰性だったこと、さらに濃厚接触とされる日から5日が経過していたこと、さらに両校の校長の許可を得た上で、報徳学園と練習試合を行った。両校は40年あまり、毎年定期戦を行っているという関係性も大きかったという。
埼玉ワイルドナイツは練習場を貸すことだけでなく、レフリーを派遣したり、試合をYouTubeで流して、HO(フッカー)堀江翔太選手、SO(スタンドオフ)松田力也選手が解説したりするなどサポートに努めた。試合は主力が出場した前半は東福岡の17-5と優勢。後半、報徳学園がメンバーを大きく変えたこともあり、東福岡が37-10で勝利した。
ノーサイド後は両チームで記念撮影
花園で再び顔を合わせることが期待されるが、ともにBKにタレントが揃うチームだけに、まずは夏の7人制ラグビーの全国大会での再戦も大いにありそうだ。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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