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【ハイライト動画あり】トゥールーズが11季ぶりにハイネケン・チャンピオンカップの頂点へ!ラ・ロシェルは惜しくも初タイトルに届かず。
ラグビーレポート by 直江 光信【ハイライト】ラ・ロシェル vs. トゥールーズ|ハイネケン・チャンピオンズカップ2020/21 決勝
この日最初のトライが生まれたのは、その13分後だった。トゥールーズが中盤で左右に振って攻撃し、中央のラックからSOヌタマックが右へ移動しながら球を受けると、絶妙の間合いで外のスペースへカットパス。走り込んだNO8セレヴァシオ・トロフアが抜け出し、内へのリターンパスを受けたCTBフアン・クルス・マリアが鮮やかな走りでインゴールへ飛び込んだ。
トゥールーズはさらに29分にもヌタマックが約30メートルのPGを落ち着いて決め、22-12と引き離しにかかる。しかし14人で戦うラ・ロシェルは、残り10分で10点差という厳しい状況にもギブアップせず、72分にSHタウェラ・カーバーローがラックサイドのわずかな隙を突いてトライ。5点差に詰め寄って望みをつなぐ。
その後もラ・ロシェルは気迫を前面に押し出して猛攻を仕掛け、敵陣に攻め込んだが、トゥールーズの集中力も途切れない。迎えたラストプレー、ゴールラインまで35メートルほどの位置でのトゥールーズボールのスクラムでラ・ロシェルのSHカーバーローが鋭くプレッシャーをかけ、ボールを奪いかけたが、トゥールーズFWも懸命に戻ってキープ。最後は自陣ゴール前まで戻されながらもSHデュポンがボールを蹴り出し、熱戦に終止符を打った。
トゥールーズはこれで5度目のハイネケン・チャンピオンズカップ制覇となり、通算優勝回数で単独トップに立った。決勝のスター・オブ・ザ・マッチには5回のボールキャリーで45メートルゲイン、両チーム最多タイの17タックルを決めたトゥールーズFLフランソワ・クロスが選ばれ、試合直後に発表されたヨーロピアン・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー2021は、大会を通して出色のパフォーマンスを見せたSHアントワーヌ・デュポンが文句なしの受賞。初優勝を果たした1996年のチームの一員でもあったウーゴ・モラ監督は、選手と監督の両方で欧州制覇を成し遂げ、成功率100パーセントで1G5PGの17点を挙げ勝利に貢献したSOロマン・ヌタマックは、初優勝時のキャプテンである父、エミール・ヌタマックとともに親子でのビッグタイトル獲得となった。
クラブ史上初のビッグタイトルには届かなかったラ・ロシェルも、持てる力を振り絞っての堂々たる敗戦だった。前半27分でのCTBボティアのレッドカード退場とともに惜しまれるのは、SOウエストの3本のキック(1G2PG)がポストに当たり不成功に終わったこと。それでも最後まで勝利をあきらめず、一人ひとりが役割を遂行して逆転圏内に迫った内容は、十分称賛に値するものだった。驚異的な仕事量でチームを前へと押し進めたFLグレゴリー・アルドリットを筆頭に、苦境に追い込まれながらも闘志を失わず、すべてを出し尽くした選手たちの姿に、クラブへの強い誇りと責任感がにじんだ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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