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勝たなければならなかった。
試合前日にサプライズがあり、スーパーラグビー(SR)を3連覇している現王者、ニュージーランド(NZ)版SR「アオテアロア」でも首位だった4勝0敗のクルセイダーズが、4年間負けていなかったホームで負けた。
25日にハリケーンズと対戦して32-34。ホームでは2016年7月以来の敗戦となり、クルセイダーズのホームゲーム連勝記録は36試合連続でストップした。
クルセイダーズ敗北の報を知り、3勝2敗のブルーズは大いに湧き立ったはずだ。
5チームによる2回戦総当たりの「アオテアロア」にはプレーオフがなく、リーグ戦の結果で優勝が決まる。クルセイダーズが5連勝していたら厳しかったが、敗北により優勝争いは混戦模様となった。
ただ優勝争いに絡むためには、目の前のチーフスにどうしても勝たなければならなかった。
そんなブルーズが7月26日(日)、本拠地イーデンパーク(オークランド)で、開幕5連敗のチーフスを迎え撃った。
一方、敵地に乗り込む0勝5敗のチーフス。
ここまで7点差以内の敗戦は5試合中4試合。接戦を勝ちきれず、優勝争いから早々に脱落してしまった。
ただ2012年からSRを2連覇した元王者として、チーフスにも意地がある。
ブルーズに6連敗となればチームワーストタイの連敗記録、2020年シーズンを含めれば7連敗となり、チームの連敗記録を更新してしまう。
チーフスも、どうしても勝たなければならなかった。
ただ先制点に湧いたのはブルーズ。鮮烈な一撃だった。
敵陣での安定したスクラムから前半6分、NZ代表のCTBリーコ・イオアネのショートパスを受けたFBマット・ダフィーが華麗にライン突破。
一次攻撃で見事にサインプレーがハマり、そのまま独走したFBダフィーが先制トライ。SOボーデン・バレットのゴールも成功して7点を先制した。
観客3万3234人のイーデンパークで、ブルーズはさらに攻勢をかけた。
SOバレット、CTBイオアネが突破を重ねると、前半14分、敵陣ゴール前のチャンスでFWが奮闘。LOパトリック・トゥイプロトゥ主将がインゴールになだれ込み、7点を追加した。
負けられないチーフスも反撃に転じる。
ブルーズが連続でペナルティ(オフサイド)を犯して好機を掴むと、ゴール前でFLラクラン・ボーシェーが2人1組のまま押し込みトライ奪取。
さらにチーフスは7点差(7-14)のまま前半を折り返すと、後半6分にWTBソロモン・アライマロが左隅でトライを奪った。
乱れたボールを確保してチャンスに変えたSHブラッド・ウェバーの機転も光り、トライ後のFBダミアン・マッケンジーの高難度のコンバージョンも成功。
ようやく同点(14-14)に追いつくと、さらに後半11分にはFBマッケンジーのPG(ペナルティゴール)も決まり、ついに17-14と勝ち越してみせた。
ホームの大観衆に押されてブルーズもやり返す。
敵陣でのラック中央をNZ代表のPRオファ・トゥウンガファシが突破すると、連続攻撃から最後はSHフィンレー・クリスティが一瞬のスキを突き、ラックサイドにグラウンディング。
SOバレットのコンバージョン成功で、21-17と再逆転した。
チーフスは後半23分に日本のキヤノン、NECにも所属したアダム・トムソンが途中出場してSR100キャップを達成。士気高揚にひと役買うと、後半35分頃から相手反則で敵陣へ侵攻。
ここでアドバンテージ状態となり、悲鳴のような歓声のなかで大外へクロス・フィールドキック。しかし絶好の得点機でノックオンがあり仕留めきれず。
ただ相手反則でさらにチーフスのチャンスは続き、ブルーズは途中出場のハリー・プラマーが、ラックでの反則によりシンビン(10分間の一時退場)に。
4点差を死守したいブルーズは、14人となって絶体絶命。残り時間はあと2分。
逆転に懸けるチーフスはフォワード勝負に出る。リスタートから途中出場のサミソニ・タウケイアフォ、NO8ピタ・ソワクラを壁にぶち当てた。
ところがNO8ソワクラの突進に、ブルーズのLOジョシュア・グッドヒューが絡みついて、チームを救うターンオーバー成功!
双子の弟ジャック(クルセイダーズ)はNZ代表CTBというアスリートが窮地を救い、しのいだブルーズが歓喜の今季4勝目。
一方のチーフスは悪夢の6連敗。またしても接戦をものにできず、7点差以内の敗戦はなんと今季5度目となった。
試合後、チーフスのCTBアントン・レイナートブラウンなどNZ代表経験者が、レフリーに詰め寄る場面も。
実は勝負を分けた最終盤のターンオーバーで、チーフスNO8ソワクラが一瞬インゴールにボールを置いたようにも見えた。
6連敗の無念もあったのだろう。CTBレイナートブラウンは地元メディアに「試合を左右する場面ではTMO(ビデオ判定)が使用されるべきです」と語った。
4勝2敗となり優勝戦線に踏みとどまったブルーズ。
次節はハイランダーズと戦い、バイ・ウィーク(休みの週)を挟み、最終節で暫定1位のクルセイダーズと激突する。
果たして優勝争いの行方は――。コロナ禍を克服してスタートした「アオテアロア」が、ますます面白くなってきた。
【ハイライト】 スーパーラグビー2020 アオテアロア第7節
ブルーズ vs. チーフス
文:多羅正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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