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ラグビー コラム 2020年6月4日

ラグビー新リーグ法人準備室副室長に就任した瓜生靖治氏 新リーグでの選手を取り巻く環境を考える

元トップリーガーの今 by 村上 晃一
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──トップリーグの現状を伺いたいのですが、ラグビーの世界で言う「プロ選手」はどれくらいの割合でいるのですか。

「2016年のネクスト構想を考えるときに、ヒアリングを致しました。概ねの比率ですが、当時、トップリーガーは全体で約770名。その中で日本人の社員選手が約65%くらい。プロ選手約15%、帰化選手約5%。外国人選手(アジア枠含む)約15%です。2018年になると、全体の人数が約780名。日本人社員が約60%。プロ選手が約15%…(以下、別表参照)」

──外国人選手も帰化選手もプロ契約がほとんどなので2019年は約半数がプロ選手ということになりますね。日本人の社員選手は徐々に減っていますが、これはどう見ていますか。

「RWC日本大会とサンウルブスの影響もあったかと考えています。世界を見据え、日本代表入りを目指してプロ契約を選択する選手が多かったように思います。しかし、一方で、社業をしっかりやって引退後はそのまま会社で働きたいと考えている選手は一定数います。この比率は簡単には逆転しないでしょう。社員選手を希望する選手は常に半分くらいはいるのではないかと予想します」

──それはラグビーというスポーツの特性でもあるのでしょうか。

「ラグビーはコンタクトスポーツですので、どんな選手でも一度大きな怪我をするとパフォーマンスはやはり落ちてしまいます。もちろん例外はありますが、選手生命は長くはないです。当たり前ですが、選手は現役のうちに引退後の生活を考えます、その中で引退後も社員として働く事ができるという事は、現役時の不安は少なくなるでしょう。またプレーをしながら企業で働く機会はそう簡単に得られるものではありません。そういった会社での働く経験だけでも大きな価値があるのではないでしょうか」

──企業側としては、社員選手とプロ選手を抱えるコストは、どちらが高くなるのですか。

「トータルコストを考えると、最終的にはプロ選手のほうがコストは安いのではないでしょうか。社員選手は福利厚生や社会保険料などの負担もあります。この部分は企業がなんのためにラグビー部を持っているのかという哲学にも関わってきます。同じ職場の選手が仕事、練習で努力しているのを見ることで、社内の活力にもなります。チームが勝った次の日は工場の稼働率が上がるという話も聞いたこともあります。全員プロ選手か今までのように社員選手も混在するのか、新リーグに向かってどちらに進むか、会社によって様々な特色が出てくる所です」

──プロ選手のセカンドキャリアの問題は新リーグでどのように考えていきますか

「新リーグではより積極的に選手に対する学びの機会は提供していこうと思っています。先日、SDGs(持続可能な開発目標)について、トップリーグの選手を対象に新リーグ準備室の谷口真由美室長が講義を行いました。今季のトップリーグでは、SDGsマッチと称して、視覚障がい者の方にラグビーを楽しんでいただく企画や「deleteC」というみんなの力で癌を治せる病気にするという活動をされている団体様との活動を実施しました。新型コロナウイルスの影響による中止がなければ、さらに数試合のSDGsマッチが実現する予定でした。この活動をリーグとして継続していくためには、選手の皆さんにもSDGsについて詳しく知ってもらわなければいけない。トップリーグ企業の持つ最新技術をお借りして講義をしました」

──そうした学びが、スポーツの価値向上にもつながるということですね。

「今後もアンプ機能とボンド機能という考え方を持って色々な事を仕掛けていきたいと思っています。アンプ機能は拡散です。ボンド機能は惹きつけるということです。スポーツ選手は、いろんな情報を得ることができるし、拡散する力があります。情報を取り込んで自分の中で消化し拡散する。それができるとスポーツ選手の価値、スポーツ自体の価値も上がります。現役選手のうちに学んだほうが良いことは積極的に発信していきたいと思っています」


文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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