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【ハイライト動画あり】華麗サインプレー連発のNTTコミュニケーションズが開幕戦勝利。好勝負演じた日野は悔しい敗戦。トップリーグ2020開幕節
ラグビーレポート by 多羅 正崇日本代表がもたらしたラグビー人気を絶やすわけにはいかない。
日野レッドドルフィンズの細谷直GM兼監督は試合後、自分達に「バトンが回ってきた」と語っていた。
「日本代表が素晴らしい活躍をして、大学選手権決勝の早明戦も盛り上がり、我々にバトンが回ってきました」
「私たちは、来て頂いたファンの方々に『日本でこんな試合が見られるんだ』と感じてもらえるような、ハートに突き刺さる試合をしていこう、と話していました。その延長線上に勝利があるんだと」
ラグビー日本代表の躍進により注目を浴びる国内最高峰「トップリーグ」が、1月12日(日)、ついに開幕した。
記念すべき2020年シーズンの開幕節、最も早い午前11時30分キックオフの開幕戦は、東京・秩父宮ラグビー場で行われた日野レッドドルフィンズ(東京・日野)vs.NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(千葉・浦安)だった。
ファンを驚かせたのは、昨季14位だった日野の奮闘だろう。
2017年度に初昇格してトップリーグは2季目。昨季5位だったNTTコミュニケーションズが実力上位と見られていたが、前半を17-8とリードして折り返したのだ。
日野のLO(ロック)村田毅(共同)キャプテンは「チームの心理的な部分に時間をかけてきたこと」が理由のひとつと振り返った。
「目標を達成するために『日野とは何か』といった心理的な部分に長い時間をかけてきました。選手ミーティングも増やしました。それが格上に対して善戦できたひとつの要因だと思います」
指揮官が語ったような冒頭の決意も力になっただろう。先制トライは前半10分、NTTコミュニケーションズのFL(フランカー)金正奎キャプテンだったが、同15分だった。
日野は新加入した193cmのSO(スタンドオフ)ジャック・デブラシーニが、ゴール前で絶妙なオフロードパス。逆転(7-5)に成功した。
PG(ペナルティゴール)を1本ずつ決めていた前半終了間際には、ヤマハ発動機から新加入したNO8(ナンバーエイト)堀江恭佑の好タックルからターンオーバー(攻守交代)。
ここからSOデブラシーニが右サイドで大きくゲインして、途中出場の田邊秀樹のトライを演出した(17-8)。
しかし、後半はNTTコミュニケーションズが見事な巻き返しを見せた。
前半こそブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)などで劣勢に立たされた。元南アフリカ代表のヒュー・リースエドワードHC(ヘッドコーチ)は、修正力が形勢逆転の鍵になったと振り返った。
「前半は規律が良くなかったが、後半は修正して戦い抜くことができました」。
後半21分には東海大学出身のCTB(センター)池田悠希がインゴールに走り込み、同26分には、桐蔭学園-早稲田大学のSO小倉順平が、スピードを活かして右中間に逆転トライ。22-17とゲームをひっくり返した。
この日のNTTコミュニケーションズはたびたび難易度の高い、華やかなサインプレーを披露していた。
チームには新加入した南アフリカ代表の『世界最強フッカー』マルコム・マークス、日本代表のNO8アマナキ・レレイ・マフィといった強力なボールキャリアーもおり、シンプルなファイトも武器になる。
ただ、新指揮官のリースエドワードHCは、リーグ全体のことも考え、エンターテイメント性溢れるラグビーを志向している。
「最終的には私たちもエンターテイナーです。お金を払って見にきてくれる皆さんが『見たい』と思うスタイルのラグビーをすることが大事です。そうすれば人がたくさん来てくれると考えています」。
敵陣ラインアウトのチャンスでSH(スクラムハーフ)鶴田諒を突破役に使ったり、タッチキックを蹴ると見せかけて奇襲を仕掛けたり。
リーグ発展も視野に入れた「エンターテイメントとしてのラグビー」で勝負に出た。
手に汗握る好勝負は、日野が後半31分にPGを追加し、終盤までNTTコミュニケーションズが22-20でリード。
勝負を決したのは、後半38分、キャプテンのインターセプトだった。
「味方がワイド(エリア隅)のブレイクダウンでプレッシャーを与えてくれたおかげで、相手のパスコースがひとつしかなかった。その過程がトライに結びつきました」(NTTコミュニケーションズ・FL金キャプテン)。
FL金キャプテンが相手SHのパスをインターセプト。約50mの独走トライを決めた。
CTBクリスチャン・リアリーファノのゴールも成功し、29-20で勝ち鬨。2トライを挙げたNTTコミュニケーションズのFL金キャプテンがMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いた。
ジャパンラグビー トップリーグ2020
日野レッドドルフィンズ vs. NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
接戦を落とした日野の細谷GM兼監督は「身体を張り続けてくれた」と選手を讃えた。
「悔しさはあるが、トップリーグという厳しい荒波に揉まれなければいけない。今日はその洗礼を浴びた。来週にまた素晴らしい試合をしたいです」
日野の次戦は1月18日(土)。東大阪市花園ラグビー場で、1敗のNECグリーンロケッツとの対戦だ。
勝利したNTTコミュニケーションズのリースエドワードHCには、時折笑顔もあった。
「ここ数年トップリーグの開幕戦は勝てなかった。チームの歴史を変える試合になって嬉しい。ただ、勝った手段については課題が残るので、サントリー戦に向けて修正したい」
NTTコミュニケーションズの次戦は、同じく1月18日。東京・秩父宮で、1敗のサントリーサンゴリアスと激突する。
文:多羅正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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