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ラグビーの楽しさは「バラエティー性」と「自由度の高さ」
──ラグビーと最初に接点を持ったのは、いつ頃ですか。
「私は奈良県の生駒市出身です。父親が高校時代にラグビーをしていて、僕の小学1年生の誕生日にラグビーボールをプレゼントしてくれました。でも、全く興味をもてなくてずっと野球をしていました。ところが、中学生の時、新日鉄釜石と同志社大学の日本選手権(1985年1月15日)をテレビで見て感動したんです。平尾誠二さんや大八木淳史さんの同志社が負けたのですが、それを見て、よし!俺が釜石を倒す、と燃えました。高校は、当時ラグビー部が強かった私立高校を受験したのですが不合格となり、結局、入学した地元の公立高校にはラグビー部がなく、ラグビーをやりたかっという思いだけが残りました」
──部活には入ったのですか。
「サッカー部に入りました。そこで体育の富永忍先生に出会いました。当時はサッカーを教えていたのですが、富永先生は大阪体育大学のラグビー部で活躍された人で、ラグビーの話をよく聞かせてくれました。面白い先生で、サッカーボールをラグビーのハイパントみたいに蹴り上げたり、相手に体当たりしてボールを取ったり。『先生!それ反則でしょ』って(笑)」
──ラグビーとの縁は続いたのですね。卒業後は京都産業大学へ進学されています。
「ラグビーをしようと思ったわけではありませんが、せっかくラグビーの強い大学に来たのだし、ラグビー部の大西健監督が担当されていた体育のラグビーの授業を選択しました。授業ではラグビー部の同級生が教えに来てくれるのですが、その鍛えられた体や技術にも感動しました。そんな縁でラグビー部の応援に行くようになりました。彼らは全国大学選手権のベスト4に進出し、国立競技場で明治大学と戦いました。前半はスクラムトライもあってリードしましたが、後半に逆転されました。でも、そこからラグビーにハマってしまいました」
──見るラグビーの楽しさは、どんなところにありますか。
「大きく2つあると思います。1つ目はバラエティー性。身長2mの選手がいて、体重130kgの選手もいる。それに対して、身長160cmほどの選手がフルコンタクトで戦っている。足の速い選手、パスの上手い選手、キックが上手い選手、それぞれの強みを生かして戦うスポーツ、こんなスポーツないですよ。2つ目は自由度の高さ。僕は野球をしていたのですが、野球って一球ごとに監督のサインに従わなければならない。でも、ラグビーはグラウンドに入れば自分たちが自由にプレーを選択できる。ボールを持ったら、走るもよし、蹴るもよし、当たるのもパスも良しと、自由度が高く非常に魅力的なスポーツだと思います」
──息子さんもラグビーをしているそうですね。
「ワセダクラブのラグビースクールに通わせました。僕も子供たちを教えることで関わっていました。長男は今ニュージーランドの高校に留学して楽しみながらラグビーをしているようです。次男は春から中学校でもラグビーを続けます。父親だけラグビー経験がないのです。痛くない、タックル行け!なんて言うと、お父さん、痛いよ!!ラグビーしたことないからわからないんだよと言い返されます(笑)」
一人のスーパースターよりワンチームスピリット
──ラグビーと仕事はどんなところが共通していますか。
「子供たちにラグビーを教えていて、学ぶことが多かったです。成長の過程は人によって違うし、改めて待つことが大事だと感じました。子供たちが成長するときって、必ずラグビーを楽しんでいるんです。結局仕事も同じで、やらされているだけではダメで、楽しんで仕事しないと成長できないんですよ。また、ラグビーは決め事だけではなく、アンストラクチャー(混とんとした状況)な事が多い。そんな状況での判断力が求められます。仕事も同じです。自分で考え、自分で行動できる事が大事。そんな人材を育てることが、ラグビーにおいても、仕事においても大切だと思います」
──組織づくりの上で参考になることはありますか。
「僕は社長という立場なので、ラグビーの監督がいかにマネジメントしているかということに興味があります。たとえば、2018年度のトップリーグで優勝した神戸製鋼コベルコスティーラーズは、会社の歴史や、チームの在り方を選手たちに理解させることによって、チームに所属する重み、プライドを植え付けました。我々も会社のミッション、ビジョン、バリューをしっかり浸透させて社員を団結させることが重要であると再認識させられました」
──人材派遣会社としてチームワークは大事ですね。
「大切なことは、一人のスーパースターを育てるよりも、いかにボトムアップして、ワンチームとして戦い、お客様に良いサービスを提供できるかということだと思います」
──大原さんが代表取締役を務める株式会社セントメディアは、ジェイスポーツへ広告を出されています。きっかけを聞かせてください。
「ティーガイア社の宮城利行会長(故人)が、ジェイスポーツの会長に就任されたとき、何か一緒にできないかという話をいただきました。宮城さんは関西学院大学ラグビー部のOBだったこともあって、同じ関西の大学同士一緒にやっていこうよ、という話になったのです。そんなご縁で継続させていただいてます」
──ジェイスポーツの放送もよくご覧になっているということですね。
「めちゃくちゃ見ていますよ。2015年のラグビーワールドカップ(RWC)では日本代表と南アフリカ代表の中継にCMを入れさせてもらいました。多くのラグビーファンがあの試合の録画を残していると思いますし、CMを入れさせてもらい光栄でした。最後のペナルティーでスクラムを選択したのは、勝つための練習を繰り返したからこそでしょう。勝つまでのプロセスって点なのですが、勝つことによってその点と点が線で結ばれる。そんな瞬間を見ることができ本当に感動しました。実は現地観戦の誘いを受けていたのですが、仕事の都合で行けなかったのです。思い切り後悔しました(笑)」
──あのとき、エディー・ジョーンズヘッドコーチはPGを狙う指示しました。それをリーチ マイケルキャプテンが断りましたね。
「いまの時代はアンストラクチャーで先を読むことが難しい。ビジネスにおいては特にそうです。会社側の決められた戦略戦術を社員に押し付けすぎるのもあまり良くないと思いました。社員が現場で行った判断を称賛し、たとえ失敗しても、そのチャレンジを認めてあげたい。そうしないと、一人一人の持っているポテンシャルをつぶすことになる。もったいないと思います」
──ラグビーの話題で仕事が上手くいったことはありますか。
「お客様でラグビーをしていた人はものすごく多いです。僕はラグビーが好きなだけなのに、『ラグビー好きに悪い奴はいない』と、発注をいただけます(笑)。これが本当に多いんです」
日本大会をきっかけに子供たちにラグビーを始めてほしい
──今年の9月20日に、RWC日本大会が開幕します。どんなふうに楽しみたいですか。
「チケットは日本代表戦全部、あと決勝戦ほか横浜の試合などをおさえました。なかなか当たりにくかったですね。RWCを日本でやる意義はたくさんあると思います。日本の素晴らしいラグビーを日本中、世界中に見せつけてほしいですし、これをきっかけに子供たちにラグビーをはじめてほしいですね」
──なぜ、子供たちにラグビーをしてほしいと思うのですか。
「誰にでも輝けるポジションがあるからです。体の大きさや運動能力に関係なく活躍できるポジションがあります。そんなスポーツはほかにはありません。そして、ラグビーは外国人選手をたくさん受け入れています。これからの日本は外国人労働者は受け入れる必要もありますし、グローバル化を理解するきっかけになるのではないかと思っています。」
──会社としての今後の目標も聞かせてください。
「数字的なことでいえば、2020年にウィルグループで売上高1,000億円、営業利益で40億円が我々の経営目標です。そして、よりグローバルシフト、テクノロジーシフトを行っていき、たくさんの人のチャンスメイクをできる会社として発展していきたいと考えています」
代表取締役社長 大原 茂
平成3年京都産業大卒、株式会社長谷工コーポレーションに入社。4年後に独立し、マーケティング会社を創業。平成12年に株式会社セントメディアに事業譲渡。平成18年株式会社セントメディア代表取締役、平成28年株式会社ウィルグループ代表取締役。
株式会社セントメディア
株式会社ウィルグループ(東証一部上場)の100%子会社。販売やコールセンター、介護をはじめ、業種に特化した「人材派遣」「業務請負」「人材紹介」サービスを提供しています。業種に特化した教育活動を通して、専門性の高い人材ビジネスを展開しています。
https://www.saintmedia.co.jp/corp/
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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