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世界選手権最後の種目であるリードの男女準決勝・決勝が9月21日(現地時間)に開催されました。
ヤコブ・シューベルト(オーストリア)
男子は日本人5名全員が準決勝に進むも、予選から一段と厳しさの増したルートに多くの選手が苦戦。そんな中、ボルダリングに強みのある楢崎(正しくは右上が「立」)智亜と緒方良行が7位と8位に滑り込み決勝に進出します。決勝はこの日本勢2名がトップバッターとなり、緒方が高度44+、楢崎が46と最終ホールドの47にあと一歩に迫る登りで会場を沸かせます。その後も完登は出ないまま試合は終盤に入り、6番手に今季W杯で決勝常連となっている19歳のルカ・ポトカ(スロベニア)が登場。最終部の細かいホールドを指の力で安定して保持し続け、そのままトップを掴み取ります。これで後続の2名に大きなプレッシャーが掛かりました。7番手は東京五輪を印象的な完登劇で沸かせたオーストリアの英雄ヤコブ・シューベルト。シューベルトも指の持久力に優れるタイプで、最後は十分に時間を掛ける老獪な登りでこちらも完登を見せ、準決勝順位から首位に立ちます。
楢崎(正しくは右上が「立」)智亜
最終競技者は今大会の台風の目となっている準決勝首位通過の、こちらも19歳のハミッシュ・マッカーサー(イギリス)。マッカーサーも前2選手と同様にゴールの1歩手前まで辿り着きますが、2人とは逆の右手を出してしまいゴールを掴み損ねここでフォール。一瞬の判断が決着を分け、30歳のシューベルトが2年ぶり3度目の世界選手権リードの頂点に立ち、2位と3位にはポトカとマッカーサーの若き19歳が並びました。日本の楢崎は5位、緒方も7位と健闘しました。
ラウラ・ロゴラ(イタリア)
女子の準決勝は高度39+~41+の3手の間に7名が並び、そこが予選通過ラインとなる大混戦。ここを抜け出した谷井菜月が5位で日本人唯一の決勝進出者となりました。決勝は準決勝を完登し今大会の3強と言われる、17歳のソ・チェヒョン(韓国)、ボルダリング優勝のナタリア・グロスマン(アメリカ)、リードのスペシャリストである>a href="https://www.jsports.co.jp/climbing/about/player/rogora/">ラウラ・ロゴラ(イタリア)に注目が集まりました。
IFSC クライミング世界選手権 2021
【ハイライト】男子リード 決勝
ソ・チェヒョン(韓国)
決勝ルートは上部が厳しく、谷井を含む最初の5選手が後半まで高度を上げられない中、6番手のグロスマンが初めて最終面に突入し暫定首位に立ちます。続く7番手のロゴラは身長が低く途中行きつ戻りつを4度繰り返す場面もあり相当な体力を奪われたはずですが、無尽蔵のスタミナと意地でグロスマンと同高度の成績を残します。最後に出てきたのはここまで今大会の予選から準決勝まで全ルートを完登しているソ。ほとんどミスなく最終面まで辿り着き、余裕を持って前二人の高度を超え優勝を確定させると、そのまま異次元のパフォーマンスで完登。まだ若いソですが、2019年のリードW杯年間チャンピオンに続き世界選手権優勝というビッグタイトルを手中にした形になります。谷井は最終順位は6位とまたもや表彰台の壁に阻まれましたが、安定して決勝に進出し続け日本の女子リードのエースとしての戦いぶりを見せました。
IFSC クライミング世界選手権 2021
【ハイライト】女子リード 決勝
文:植田幹也
植田 幹也
植田 幹也(うえだ みきや)。大学卒業後から始めたフリークライミングに魅せられ、サラリーマンを辞めてボルダリングジムスタッフに。ブログ「Mickipedia」やクライミング雑誌『Rock&Snow』等での執筆活動、ジャパンカップやW杯の実況解説も担当。
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