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ピックアップ コラム 2021年9月22日

【クライミング世界選手権レビュー】藤井快優勝! ボルダリング

クライミングコラム by 植田 幹也
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伊藤ふたば

スピードに続いて世界選手権のボルダリングが9月18日(現地時間)に女子の準決勝・決勝、19日に男子準決勝・決勝が開催されました。

ナタリア・グロスマン

日本女子は野口啓代が引退し野中生萌も東京五輪後で出場を見送ったため、フレッシュなメンバーで大会に臨みました。しかし準決勝は伊藤ふたばの13位が最高順位となり、日本勢が決勝に進むことはできませんでした。また今大会は東京五輪金メダリストのヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)も欠場。こうなると今季W杯で優勝2回を含み4戦全てで表彰台に乗っている20歳のナタリア・グロスマン(アメリカ)に注目が集まります。グロスマンはダイナミックな第1課題、壁を使ったトリッキーな第2課題を一撃し前評判通りの登りを見せます。第3課題こそ出だしで落ちて一撃とはなりませんでしたが、最終課題も力強く一撃。蓋を開けて見れば4完登7アテンプトという圧巻の優勝劇となりました。追随したのはカミラ・モローニ(イタリア)で、13アテンプトとトライ数が嵩みグロスマンとの安定感の差は出たものの全完登で準優勝しました。全体女王ガンブレットとの直接対決はお預けとなりましたが、女子の勢力図がいよいよ変わるのではないかと期待させてくれる圧倒的な登りをグロスマンは見せてくれたのではないでしょうか。

藤井快

男子も女子同様に東京五輪組が数名出場を回避しましたが、楢崎(正しくは右上が「立」)智亜は出場。加えて日本チームはボルダリングジャパンカップ4度優勝の藤井快、世界大会の経験豊富な緒方良行や高田知尭などを含む6名が出場し盤石のメンバーで今大会に臨みました。準決勝は誰1人登れない課題があるなど全体的に登りづらく高難易度でしたが3完登を決めた楢崎が首位、藤井が2完登で3位につけ決勝に進出します。そして決勝は第1課題からいきなり勝負の分かれ目となりました。強傾斜にほぼへこみの無いスローパーが並び、最初の3名はこの課題を前に為す術無し。しかし4番手で出てきた藤井はなんとキャンパシングと呼ばれる上半身だけで登る驚異のパフォーマンスでこの課題を一撃。

IFSC クライミング世界選手権 2021

【ハイライト】藤井快優勝!男子ボルダリング 決勝

楢崎(正しくは右上が「立」)智亜

楢崎を含む後続の2名も出だしのパートを解決できずゾーンすら未獲得となり、この時点で藤井が大きくリードします。2課題目は易しめの設定で藤井と楢崎を含む4名が完登。そして3課題目は緩い傾斜で正確なフットワークが求められる課題で、多くの選手が悩まされましたが、繊細に秀でる日本勢2名だけが完登します。この時点で藤井が3完登4アテンプト、楢崎が2完登5アテンプトのゾーンなしとなり、最終課題を待たずして藤井の世界選手権初優勝が決まりました。2016年に楢崎が世界選手権を制して以来、藤井は常に楢崎の後を追っていましたがここに来てついに大舞台の頂点に立った形です。一方の楢崎も東京五輪の疲れもあったと思われますが意地を見せ準優勝。若手の追随をまだまだ許さない日本の2大エースが存在感を示した印象的な一戦となりました。

文:植田幹也

IFSC クライミング世界選手権 2021

【ハイライト】女子ボルダリング 決勝

植田 幹也

植田 幹也

植田 幹也(うえだ みきや)。大学卒業後から始めたフリークライミングに魅せられ、サラリーマンを辞めてボルダリングジムスタッフに。ブログ「Mickipedia」やクライミング雑誌『Rock&Snow』等での執筆活動、ジャパンカップやW杯の実況解説も担当。

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