【ル・マン特集 | 決勝まであと23日】今年も4人の選ばれし日本人ドライバーが挑戦する

ル・マン24時間レース 決勝スタートまであと23日

耐久レースの聖地、フランスのル・マンを舞台に2025年6月14日（土）〜15日（日）に開催される「第93回 ル・マン24時間レース」。FIA WEC（世界耐久選手権）を中継する「J SPORTS」ではシーズンの中で最も重要なこのレースを今年も24時間完全生中継します。決勝レースがスタートするまでの間に24個のトピックスを取り上げ、今年のル・マンの見どころをご紹介しています。

第2弾は日本人ドライバーの参戦に関して。今年参戦する日本人ドライバーは僅かに4名です。昨年は8名が参戦していたのに対して今年は半減してしまいました。

かつては星野一義／長谷見昌弘／鈴木利男（ニッサン・グループCカーの時代）、高橋国光／土屋圭市／飯田章（ホンダNSX）、片山右京／土屋圭市／鈴木利男（トヨタGT-One）など「日本人トリオ」のチーム体制が多かったことを知るファンの方は4名という数字を見て、ちょっと寂しさを感じるかもしれません。時代背景とレースに対する考え方、ルールの変化があり、今では日本人トリオでの参戦はほぼ不可能に近いかもしれません。

日本人トリオチームがかつて多数参戦したのは国内メーカーが国内市場だけを見ていれば充分だったからというのが大きな理由です。それが今は海外のマーケットも意識したチームにして、グローバルなプロモーションを行うことが重要な時代。それは他の国のメーカーも同じで、ドライバー3人の国籍が全て同じという構成のチームは全62台中1台のみです（007号車のアストンマーティン・ヴァルキリーはイギリス人トリオ）。

チームのエースとも言える平川亮

そんな時代に参戦する日本人ドライバーたちはある意味、本当の選ばれしドライバーたちと言えるでしょう。「HYPERCAR」クラスで総合優勝を狙う「トヨタ」の7号車にはチーム代表を兼任する小林可夢偉。そして同じく「トヨタ」の8号車にはチームのエースとも言える平川亮。彼らは実力と経験は日本人ドライバーの名実ともにトップクラスであり、流暢な英語でチームへのフィードバックもメディア対応もできるグローバルアスリートたちです。

木村武史は今年で7回目の挑戦

そして「LMGT3」クラスには57号車の「ケッセルレーシング」（フェラーリ296GT3）から54歳のジェントルマンドライバー、木村武史が参戦。2019年からGTクラスに参戦を続け、今年で7回目の挑戦。木村はELMS（ヨーロピアン・ルマンシリーズ）に年間参戦してランキング2位になるなど、積極的にル・マン関連のレースに出場して結果を残してきました。情熱と挑戦の姿勢がル・マンに認められたドライバーと言えるでしょう。

佐藤万璃音（写真右）の走りからも目が離せない

さらに若手ではFIA F2にも参戦していた26歳、佐藤万璃音が今年も「ユナイテッドオートスポーツ」（マクラーレン720S GT3 Evo）で参戦。少年時代からヨーロッパをベースにレース活動をしてきた彼は2023年にELMSに参戦してランキング2位を獲得。昨年から同チームでFIA WECに参戦しています。

総合優勝を争う小林可夢偉、平川亮の存在はもちろんですが、折に触れては国際映像でもテイクされる存在になった木村武史、佐藤万璃音のパフォーマンスにも大いに期待して、テレビの前で応援してくださいね。

文：辻野ヒロシ