ママの夢は何だったの？　ママさんライダーが砂漠にかける夢！

「パリダカ」をオマージュした「アフリカエコレース」

イタリアサルディニアラリーにも出場した増田まみ選手

1月5日にスタートした国際クロスカントリーラリー「アフリカエコレース」。

そこに参加する日本人女性ライダーが、増田まみ選手だ。

シングルマザーの彼女は、4人のわんぱく盛りの男の子を育てている、ママさんライダーでもある。

スタート直前の増田選手に、話を聞いた。

・いよいよですね、体調はいかがですか
「体調は万全です。たくさんの予防接種（A型肝炎、髄膜炎、狂犬病、破傷風等）が終わって、もう注射をしなくていいのでホッとしています。注射が大嫌いなので…」

・念願のアフリカ大陸が待っていますね
「食べ物も平気ですし、不安は特にありません。とにかく完走できるよう、しっかりと走りたいと思います」

マシンはイタリアのBETA。

普段は日本でアラブ首長国連邦大使館へ勤務

増田選手が挑む「アフリカエコレース」は、かつてフランスのパリから、アフリカ・セネガルの首都ダカールを目指した「パリーダカールラリー（通称・パリダカ）」をオマージュしたラリーだ。2020年大会で12回目となり、年々日本からの出場選手も増えている。

増田選手はモトクロスバイクからそのキャリアをスタートさせ、その後MTB（マウンテンバイク）に転向し、アジア王者を獲得した経験を持つ。結婚・出産を経て4人の男の子を授かり、シングルマザーとなった現在は、アラブ首長国連邦大使館に勤務している。

中学校2年生から小学校3年生まで4人の男の子が、ママの夢をサポートする

ママの夢は何だったの？　息子たちの一言で決意

シングルマザーとなりバイクから離れていた増田に、かつての自分が競技していたころのポスターを見た息子たちがこういったという。

「ママの夢は何？　なんでまた、バイクに乗らないの」と。
一瞬の間の後「君たちを育てるためだよ」と言った増田選手に息子たちが返した言葉は「僕たち待てるから、乗って欲しいよ」だった。

そのとき増田選手は「私は、私らしく生きていいんだ」と思ったという。
そして昔からの夢「パリダカに出る」に向けて、再び体を鍛え直してトレーニングを積み、身の回りの体制を整えた。

4人の息子たちの育児は実家の協力を仰ぎながら、また勤務先の大使館にもラリー参戦への夢を伝えて、仕事との両立を図った。

現在パリダカは「ダカールラリー」という名称となり、サウジアラビアでの開催となっている。そのため、かつての「パリダカルート」である、アフリカエコレースに夢をかける形となったが「アフリカを走る」ことに何ら変わりはないだろう。

フェリー乗り場に集結した出場マシン。ここからアフリカ大陸へ船で移動する

フィニッシュは1月19日、モナコからセネガル・ダカールを目指す

・日本で応援する方々にコメントをお願いします
「私がこうして海外ラリーに出ることで、私もバイクに乗ってもいいかな？　と思ってもらえるお母さんが増えてくれると嬉しいですね。お母さんも楽しい事、ヨガでもジムでもバイクでも、そういうことをやってストレスをためないようにしてもらいたいです。
そして、お母さんになっても自分らしさを失わないで欲しいです」

文／杉山友輝（J SPORTS）