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「予選で失敗しちゃって。
原因があっても、コースオフした時にステアリングを握っていたのは自分ですから。
責任がありますよね。
そして、チームだって、自分に対する信頼を失っていたと思います。
だから、信頼を取り返すためには、決勝で結果を出すしかなかったですよね」
と言って小柄なレーシングドライバーは、少し照れ臭そうに、はにかんだように笑った。
これ聞いて、食べてもいなのに、鼻の奥の方でワサビの香りが湧いてきて、ツーンッ!ですよ。歳のせいか最近涙腺も緩んでウルウルしそうになったので、瞬きを一気に百回くらいしました。本当に。
「最後の最後で、IMPUL(GT-R)がいたので、抜きにかかったのですけれど、ちょっと当たって。
スーパーフォーミュラでは、IMPULに乗っているんで、マズイかなって。
直ぐに星野さんのところへ行って、<すみません>って。
そうしたら、星野さんが<いいんだ!レースなんだから、いいんだ!もっとヤレ!>って。
<それどころか、来週のスーパーフォミュラだ!ガンガンいけよ>って言われました」
スーパーGT第3戦、鈴鹿。
予選のQ2に臨んでアタックラップの1コーナーに入った瞬間にポーパシングが起きてマシンのフロントが上下動。マシンの下面が路面と激しく接触してコントロール不能になってコースオフ。セッションの残り時間は無く、アタックは不発。決勝のグリッドは、Q2に進出したマシンの最後尾8番手。
決勝レースでは、前半、ファーストスティントでチームメイトが接触を受けて、コースオフ。コースに復帰できたけれど、クラス最後尾までポジションダウン。
引き継いだセカンドスティントでコースインした途端、彼は、鬼神の走りを見せた。読んで字のごとく、鬼のように。神が彼に舞い降り、無機質のマシンにまるで彼の魂が乗り移ったように。
1周の間に2台のマシンを抜き去ったこともあった。気がつけば5位まで順位を上げていた。そして、最後の最後まで攻めの姿勢を崩さなかった。上位陣では他車より1秒以上速いラップタイムで周回するというとてつもないドライビングだった。
あの、小柄な体のどこにそれだけのパワーが潜んで着るのだろうか。
すごい、彼は本当にすごいドライバーであることが再確認された。
カッコイイ!!
Cool!!
Amazing!!
好漢、関口雄飛。
もっと面白くなる。もっともっと速くなる。
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会会長。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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