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4連敗からの3連勝!進撃の青森山田をホーム無敗の昌平が迎え撃つ杉戸決戦!昌平高校×青森山田高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第8節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史昌平高校・長璃喜
芦田徹監督を新指揮官に迎えた今シーズンの昌平高校も、魅力的なサッカーを繰り広げている。ホームゲームとなった開幕戦は市立船橋高校相手に、1年生ストライカーの立野京弥が90分に決勝ゴールを叩き込んで劇的勝利。第3節でも浦和レッズユースとの“埼玉ダービー”に、3-1と快勝を収めてみせる。
3試合未勝利で臨んだ前節の鹿島アントラーズユース戦では、CKからキャプテンの伊藤隆寛が先制ゴールを決めれば、相手のミスを突いて長璃喜が追加点。相手の反撃も1点に抑え、カシマスタジアムから勝点3を持ち帰る。ただ、7試合を終えた段階での成績は3勝2分け2敗で7位。ここからさらにアクセルを踏み込みたいところだろう。
一昨年のプレミア王者・青森山田高校は苦しんでいた。アウェイで戦ったFC東京U-18との開幕戦に1-2で競り負けると、そこから横浜FCユース、前橋育英高校、鹿島ユースにすべて0-1で敗れ、まさかの開幕4連敗スタートを強いられてしまう。
窮地に立たされて挑んだ第5節。これ以上負けられないチームは、ピッチサイドに陣取るメンバー外の選手たちが送り続けた声援の熱量を後ろ盾に、柏レイソルU-18に2-0で勝ち切って、とうとう連敗脱出に成功。すると、第6節では東京ヴェルディユースを、前節は浦和ユースを相次いで撃破し、怒涛の3連勝を達成。一気に息を吹き返した感がある。
昌平でフィーチャーしたいのは、プレミア屈指の左ウイングとして名を馳せている長璃喜だ。まるで加速装置を搭載しているかのようなドリブルは、常に観衆のどよめきを誘うような代物。加えてパンチ力のあるシュートも備えており、ここまでチームトップの4ゴールを挙げている。
3月に招集されたU-18日本代表の活動では、松井大輔ロールモデルコーチから1対1で指導を受けたことで、「縦突破の仕方をいろいろ教えてもらって、ドリブルの幅が広がりましたし、いろいろ教えてもらえて嬉しかったです」と小さくない刺激も得た様子。今節もいったんこの人にボールが入ってしまうと、リーグ最少失点を誇る青森山田守備陣であっても、簡単に対抗することは難しそうだ。
さらにこの一戦の昌平では、今季から守護神を任されている小野寺太郎の存在も語り落とせない。昨シーズンはプレミアの出場経験はなく、シーズン途中からは“応援団長”に就任。「ピッチで戦えない分、『オレらの声でゴールを決める』ぐらいの感じで、スタンドから戦っていました」と言い切るあたりに、明るいキャラクターが滲む。
小野寺の前所属は青森のリベロ弘前SC U-15。小学生時代に高校選手権の昌平対青森山田を見たことで、「その時に『山田に勝ちたいな』と思ったので、そこからずっと昌平に行くと決めていました」という。3年目でようやくスタメンを掴みつつある元気印が、あの日から自分の軸に据えた『青森山田を倒す』という目標に向けて、並々ならぬ気合をみなぎらせていることは想像に難くない。
青森山田のゴールマウスを昨シーズンから守り続けてきた松田駿は、今季も印象的なパフォーマンスを披露。7試合で6失点という数字はリーグ最少だが、この失点の少なさに最後の最後で大半のシュートはストップしてしまう背番号1の圧倒的なセーブ力が、大きく貢献していることに疑いの余地はない。
思うような結果に恵まれなかった2年時の1年間を経て、「去年は失点してしまって、苦しい展開で点が獲れないことが非常に多かったので、どれだけゼロにこだわるべきかは自分が一番よくわかっています」と覚悟も十分。高体連トップクラスの実力を誇る松田が、強力アタッカー陣が居並ぶ昌平のアタックにどう立ちはだかるかが、今節の勝敗を大きく左右することに疑いの余地はない。
得点力不足に喘いでいた青森山田の中で、9番を背負う深瀬幹太は救世主的な役割を果たしている。開幕から4試合はいずれも後半からの途中出場にとどまっていたものの、第5節の柏レイソルU-18戦でスタメンに抜擢されると、83分にプレミア初ゴールを叩き出し、チームの今季初勝利の一翼を担う。
すると、続けて先発出場を果たした東京Vユース戦でも、圧巻の2ゴールを記録して連勝の立役者に。実はここまで全7試合の出場時間の中で、放った3本のシュートがすべて得点に結びつく“百発百中”ぶりを発揮しているだけに、今回の90分間で深瀬の“4本目”がいつ飛び出すのかは、大いに注視する必要がある。
4連敗からの3連勝という、振れ幅の大きな時間を送ってきた青森山田と、攻撃的なスタイルを真摯に貫きながら、ホーム無敗を続けている昌平との激突は、どちらもインターハイ予選を目前に控えているだけに、ポジティブな勢いを付けたいところ。ともに緑をイメージカラーに持つ、高校サッカー界屈指の強豪対決から目が離せない。
青森山田高校・松田駿
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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