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川口遼己と大沢悠真の葛藤と歓喜。激しい競争がもたらした前年王者の開幕勝利『高円宮杯プレミアリーグEAST 市立船橋高校×青森山田高校マッチレビュー』
土屋雅史コラム by 土屋 雅史諦めずに努力したことが引き寄せたスタメンへの抜擢。意気に感じないはずがない。「最高です。セットプレーのセカンドは狙っていたので、振り抜いたら良いコースに行ったかなという感じです」と笑顔を見せた川口の貴重な先制ゴールが、チームに大きな勇気をもたらしたことは言うまでもないだろう。
「春の遠征では結構スタメンで使われていましたし、先週の練習試合でもスタメンで、今週の練習もモチベーション高くやっていたんですけど、スタメンじゃないということが木曜日ぐらいにわかって、その日は悔しいというか、落ち込んでいたところもありましたね」
スタメンを勝ち獲った選手がいれば、一方でスタメンを奪われた選手もいる。プレシーズンで多くの出場機会を得ていた大沢悠真は、自分がオープニングマッチの11人に選ばれていないことを試合の2日前に知る。もちろん最初はメンタル面の揺らぎを感じていたものの、いつまでもふさぎ込んではいられない。
「プレミアは長いリーグなので、チームがまず勝つことを考えて、そういうマイナスな想いはみんなの前で出さないようにしました。自分にも出るチャンスはあると思っていたので、そこで絶対にゴールを決めて、見返してやりたいという想いもありましたし、『もう1回コイツをスタメンに戻そう』と思わせるようなプレーをしたいなと思っていました」。実際に開幕戦はベンチからのスタートだったが、しっかりと気持ちを切り替えて、アップエリアから試合を見つめる。
83分。ようやく大沢に声が掛かる。残された時間はアディショナルタイムも含めて10分あまり。「まずは失点しないというところで、守備のところでプレスバックをすることと、攻撃は『1本あったらそれをしっかり決めてこい』と言われました」。やるべきことは整理できている。気合十分で待ちに待ったプレミアのピッチへと駆け出していく。
ずっと気になっていたことがあった。「前半から試合を見ていて、『ゴールキーパーが結構前に立ち位置を取っているな』と思っていたんです」。後半もアディショナルタイムに差し掛かった90+2分。後方からのボールを引き出した大沢は、GKのポジショニングを見極めながら、ゴールまで40メートル以上はある位置からロングシュートを狙うと、バウンドしたボールは鮮やかにゴールネットへ吸い込まれる。
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