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若き紫熊が志向した新スタイルの圧倒的体現者。サンフレッチェ広島ユース・石原未蘭が体感した自身とチームの大きな成長 【NEXT TEENS FILE.】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史ファイナルの表彰台に上がった石原。準優勝の悔しさが滲む
チームにとって大きなターニングポイントになったのは、夏のクラブユース選手権だったという。グループステージこそ無敗で勝ち抜けたものの、ラウンド16でガンバ大阪ユースの前に敗退。「あの負けがチームを強くしたと思います。あの夏の大会を機に、全員がファイナルの舞台に立ってプレミアで優勝するということを目標にしてきたので」と石原も振り返るように、夏の日本一を逃した経験を得て、冬の日本一への想いをより強く心に刻み込んだというわけだ。
確かに後期は大勝する試合も見られたが、粘り強く勝ち点を引き寄せる試合も少なくなかった。「やっぱり優勝するためには内容より結果だと思うので、前期は内容が良くても勝てない試合もありましたけど、後期は結果を求めてやり続けてきたことも大きかったと思います」。キャプテンもグループが纏い始めた勝負強さを実感していた。
実はリーグ終盤戦に差し掛かったタイミングで、広島ユースはビルドアップの形をもう一段階進化させていた。両サイドバックはボランチの位置で並ぶような位置を取り、ボールを落ち着かせながら、全体のバランスを維持する任務も与えられる。
さらに増えた“やるべきこと”。だが、そのトライは石原に一層の楽しさをもたらしていた。「自分は中学生の頃からボランチもやっていて、中盤の位置に入ってやることに違和感はなかったので、サイドバックもしながらボランチの位置もこなすのは、やっていて本当に楽しかったですし、逆にもうこのやり方が好きになるぐらい、野田さんが1年間を通して考えてやらせてくれたので、野田さんには本当に感謝しています」。指揮官もこの右サイドバックの遂行力には、大いに感謝していたに違いない。
充実したシーズンを締めくくる最後の試合は、埼玉スタジアム2002がその舞台。最終節で劇的にWEST優勝を成し遂げ、迎えたプレミアリーグファイナル。EAST王者の青森山田高校を相手に、サポーターの大声援にも後押しされた若き紫熊たちは緑の芝生の上で躍動したが、結果は1-2の逆転負け。夏の屈辱からみんなで目指してきたタイトルには、あと一歩及ばなかった。
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