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決勝点を挙げたジョアン・フェリックス
「前半を捨ててしまった。なぜだかわからない。勝ちに行くプランだったのに。誰もボールを欲しがらず、誰もボールをプレーしようとしなかった」
試合後にオブラクは言った。
バルセロナがアトレティコ・マドリーとの決戦を制し優勝争いに踏みとどまった。結果こそ1-0だったが、内容的には2点差、3点差が付いてもおかしくなかった。
オブラクが描写したのは12分から前半一杯までのチームの様子だったろう。
「なぜだかわからない」という疑問の答えは、シンプルに「パニックに陥っていたから」だと思う。
12分に4度目の決定的なチャンスを作られた後、アトレティコ・マドリーはもう前に出るべきか後ろで待つべきかわからなくなっていた。シメオネが立てた「勝ちに行くプラン」とは「前へ行く」という意味で、2トップのグリーズマンとモラタはバックパスを追っていたが、中盤のコケ、デ・パウル、ジョレンテの出足は鈍く、DFライン5人の足はすでに止まっていた。
どんなゲームプランでも、シメオネが「前へ出ろ」、「ボールを繋げ」といくら叫んでも、失点の脅威の前には下がってゴール前を固めてしまうのが、「人間の本能」というもの。前の選手が上がって中盤以下が上がらない戦術的チグハグが起こるとスペースが生まれる。
28分の決勝点は恐怖が迷いを生み、生れたスペースを突かれたものだった。
前線は闇雲にプレスを掛けた。自陣に籠っている状態から相手のバックパスを追ったのだから成功率はゼロに近かったが、とにもかくにもそれがゲームプランであった。結果、プレスは空振りに終わり、生まれた大きなスペースにペドリが下がって来た。ヒメネスはCBでありながらペドリを深追い。ペドリはワンタッチでサイドのクンデにさばく。クンデからボールをもらったラフィーニャがスペースを横走りしてフェリックスへ。モリーナがプレスを空振りしてフェリックスがGKと1対1に。浮かしたシュートが飛び出したオブラクの頭上を美しく越え、ネットを揺らす……。
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