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サッカー フットサル コラム 2023年11月7日

ラ・リーガ、ジローナが単独首位かつプレー内容でも際立つという事態

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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オサスナ戦で逆転ゴールを決めたツィガンコフ(中央)

オサスナ戦で逆転ゴールを決めたツィガンコフ(中央)

みなさん、ラ・リーガの順位表を見てほしい。ジローナが首位に立っている!

彼らがアウェイでオサスナに見事な逆勝利する一方で、アトレティコ・マドリーがなぜだかよくわからない弱小にポイントを落とす癖でラス・パルマスに敗れ、バルセロナはクラシコでの悪運を幸運に替え酷い内容でソシエダを破ったが(あのモモ・チョーのパスミスは何だったんだろ?)、レアル・マドリーがベリンガム依存が露呈した格好でラジョ・バジェカーノと引き分けたことで、単独首位かつプレー内容でも際立つ、という事態が起きた。

ジローナ、知ってますか?

創立は1930年で中程度の歴史を誇るが、今季を含め1部生活はたった4季目という、紛れもない弱小クラブである。

少し詳しい人なら、彼らがマンチェスター・シティを頂点とするシティ・フットボール・グループ(CFG)傘下にあることは知っているだろう。フロントのトップはシティの監督ペップ・グアルディオラの弟、ペレ・グアルディオラである。

だが、ジローナの大躍進がCFGのお陰というのは半分も当たっていない。

確かにセンセーションを起こしているドリブラー、サビオはCFG傘下クラブからのレンタルだが、彼の他にレンタルは1人(コウト)だけ。シティに所属歴があるエリック・ガルシア、アレイクス・ガルシア、ヤンヘル・エレーラは、言葉は悪いが戦力外となってやって来た選手である。一方先週末同点ゴール、勝ち越しゴールを挙げたウクライナ人コンビ、ドブビクとツィガンコフを獲得したのも、降格と解任で自信喪失状態のミチェルを監督に大抜擢したのも、CFGとは独立したジローナのスポーツディレクション部門だった。

傘下に入った6季を振り返っても、2部生活と1部生活が半々。1部と2部を行ったり来たりするエレベータークラブに育てたのはCFGかもしれないが、今季の快進撃は間違いなくジローナのフロント、テクニカルスタッフ、選手たちの大手柄だと言える。

それを裏付けるのが、プレーの美しさ。

10本以上のパスを連続して繋いでの得点数4は、レバークーゼンとパリ・サンジェルマンの6、バイエルンとブライトンの5に次ぐもの。アルメリア戦では22本連続パスの後に得点を挙げている。

パスを繋ぎ相手を引き付けてから、大きなサイドチェンジや緩から急のスピードアップで崩す、というポゼッションサッカーのお手本のような姿を見るならば、今は3強でもソシエダでもなくジローナなのだ。

3強以外のチームが優勝したのは01-02のバレンシアが最後で、11-12を最後に3強以外がトップ3入りしたこともない。カレンダーを見るとバルセロナとアトレティコ・マドリーとの対戦はこれからで、レアル・マドリーには敗れている。

優勝なんて誰も夢見ていないが、欧州カップ戦出場権獲得は現実的な目標だと言える。暗いニュースばかりの世の中で、格差社会のラ・リーガだから、こういう夢のあるサプライズがあると、サッカーもまだ捨てたものじゃないな、とうれしくなる。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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