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サッカー フットサル コラム 2023年10月31日

ゴール嗅覚に優れたベリンガム、クラシコで2ゴールを決め公式戦13試合で13ゴール

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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ガビ、ベリンガム

クラシコで2得点のベリンガム

クラシコを決めたのはベリンガムの2ゴールだった。

68分の同点ゴールは強烈なミドルシュート。バルセロナ側からすると、クリステンセンの寄せの甘さとテア・シュテーゲンの逆手(左へ飛ぶのに右手で弾き出そうとしたこと)が残念、ということになろう。だが、これはベリンガムの個の力──強く正確に蹴る能力に屈した──というのが正当な評価だろう。

一方、後半ロスタイムの決勝ゴールの方はバルセロナ側にすれば運が悪かった、となる。カルバハルからのパスをモドリッチがトラップミスをし、大きく跳ね上がったボールがDFの頭を越え、走り込んだベリンガムの足下に落ちた。間髪入れずに叩いてGKの股を抜いたのはベリンガムの技だが、味方のミスがなければ転がって来なかったボールだ。

これでベリンガムは公式戦13試合で13ゴールとなった。量だけでなくゴールの質も優れており、クラシコでの勝ち点3を含めベリンガムのゴールがもたらした勝ち点は19。スペイン否、欧州で最も決定的な選手、と言っていい。

ベリンガムの何が優れているのか?

必ず指摘されるのが「ゴール嗅覚」だ。

ボールが転がって来たところに必ず居る能力で、代表的な持ち主に元レアル・マドリーのラウール・ゴンサレスがいる。まるでモドリッチのトラップミスを予測したかのように飛び込めたのは、ゴールの臭いを嗅ぎ分ける能力があるから、とされる。

実際13ゴールのうちGKが弾いたこぼれ球を拾ったものが2つあり、味方のミスがアシストになったものもクラシコ分を含めて2つある。あと、自分のシュートミスが都合良くバウンドしてGKの頭を越えたものも1つある。

となると、ベリンガムは運に恵まれた選手なのだろうか? ラウールは「ごっつあんゴールの名手」と軽蔑的に呼ばれたことがある。ベリンガムもそうなのだろうか?

運のせいにするのは両者に失礼だと思う。サッカーに運は付きものだが、運を引き寄せるのは神の祝福ではなく、本人の能力や努力だ。

能力とは先を読む戦術眼のこと。ラウールのエリア内でのクレバーさは傑出していたし、点取りではないダビド・シルバがスペイン代表でゴールを量産したのは戦術眼のお陰だった。

センタリングするだろう味方に反応しゴール前に走り込む──次のプレーを読んで動く。これはFWなら誰でもやっている。より重要でベリンガムを特別にしているのは、センタリングを受けてシュートするだろう味方に反応にしてゴール前に走り込むこと。つまり、次の次のプレーを読む能力の方だ。

これ、もちろん能力でもあるだが、努力でもある。次のプレーに反応するのはもちろん、次の次のプレーに反応してゴールを決めるためには、何度も何度も忠実に詰め続けなければならない。空走りばかりで諦めていては、あるいは空走りの連続で体力が尽きてしまえばボールを拾えない。

統計的に言って、ゴール前に詰めれば詰めるほど、ボールを拾える確率は上がる。

CL3試合のスタッツを見ると、ベリンガムの走行距離は1試合当たり11kmで全選手中43位でレアル・マドリーではトップ。13ゴールの中にはクラシコ同様、後半ロスタイムのゴールが2つある。

他の選手が肩で息をしていて集中力が下がる時間帯でもベリンガムは嗅覚を研ぎ澄ませたまま、ゴール前に詰め続けて行ける。他の選手が尻つぼみになるところをベリンガムは尻上がりになる。力強いランでごぼう抜きしたり、マーカーを弾き飛ばすような凄味は、終盤になるほどよく見られる。

まとめると、正確に力強く蹴れる力+先のプレーを読む能力+諦めずに詰められる体力と精神力が、ベリンガムを特別な存在にしているのだ、と思う。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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