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サッカー フットサル コラム 2023年10月12日

ウェストハムはプレミアリーグに鉄槌を振り下ろせるか

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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昨日と今日、午前と午後で指導内容が変わるため、だれひとりとしてモイーズについていかなかった。九か月で解任。その後、サンダーランド、レアル・ソソエダでもうまくいかず、17年12月に着任したウェストハムでも、3バックが上下動するだけの古臭い戦術で少なからぬ批判を浴びた。シーズン終了後に解任。モイーズのキャリアは終わったかにも思われたのだが……。

19年12月、マヌエル・ペレグリーニが解雇されると、ウェストハム上層部はサポーターの大反対を押し切ってモイーズを再招集。ここから、まさかのリベンジが始まった。

冬の市場で獲得したトマス・ソーチェク、ジャロッド・ボウェンがものの見事にはまり、なおかつミカエル・アントニオの “規格外フィジカル” でプレミアリーグに残留した。翌シーズンからはアーロン・クレスウェルの左足、スピードと技巧のボウェンに加え、ワールドクラスのアンカーに成長したデクラン・ライスが異彩を放ち、2シーズン連続でトップ8を維持している。

ローテーションを活用できなかった昨シーズンこそ16位に沈んだものの、カンファレンスリーグでは優勝。1979‐80シーズンのFAカップ以来43年ぶりの戴冠に、ハマーズ・サポーターは留飲を下げたのである。

そして今シーズン、ライスがアーセナルに移籍したとはいえ、リーグ随一のセットプレー・アーティストといって差し支えないジェイムズ・ウォード=プラウズをサウサンプトンから獲得し、ソーチェク、アントニオをはじめとするストロングヘッダーの威力が倍増、いや、三倍増した感がある。

マイボールになった瞬間、鬼気迫るスプリントを繰り返すボウェン、ルーカス・パケタには勝利への執念が熱く感じられる。

最終ラインの選手層がやや薄いため、マンチェスター・シティやアーセナル、リヴァプールと優勝争いを演じられるとは思えない。チャンピオンズリーグの出場権獲得も難しい。だが、セットプレーとロングカウンターに磨きがかかった今シーズンのウェストハムは、非常に厄介なチームになりつつある。

プレミアリーグに “鉄槌” を振り下ろせ!

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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