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サッカー フットサル コラム 2023年10月3日

久保建英の「激高」、その最適解

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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久保建英 ラ・リーガ レアル・ソシエダ アスレティック・ビルバオ

久保建英とマークするユリ・ベルチチェ

久保建英の「激高」が話題になっている。アスレティック・ビルバオとのバスクダービーの後半ロスタイム、久保が揉み合いの中心になるシーンがあった。

あれくらいどんどんやれである。

挑発してきたのはユリ。彼と久保はずっとやり合っていた。ユリは速さと強さと闘争心を兼ね備えたラ・リーガ有数の左SBで、代表レベルだと思うが、未デビューなのはあの激し過ぎる性格のせいだろうか。

なにせ、ソシエダの下部組織で育った後アスレティック・ビルバオのユースへ移籍、その後ソシエダでプレーした後にまたアスレティック・ビルバオへ移籍した、という反逆人生を歩んできた男なのだ。

90分過ぎ、まずユリが久保を押し倒した。

これはエリア内だったがファウルではない。もしかすると肘が入っていたかもしれないが、まあまあ普通のプレーだ。起き上がった久保がプレーに復帰しようとしたら、ユリが近づいて髪の毛をくすぐってちょっかいを出してきた。久保も応じて髪の毛を触り返した。で、次にイニャキ・ウィリアムスと絡んでプレーが切れた段階で、久保がユリに向かって行き揉み合いとなった。試合後の談話によると、その前にも激しいタックルを受けていたらしい。

この久保の反応、大正解である。

挑発してきたのは相手の方。やり返さないと舐められる。手は決して出さずに「何だ?どういうつもりだ?」と詰め寄って説明を求める。仲間や相手が割って入ったら、止める。ゆっくり歩み寄って周りに止められる時間を作るのが肝心である。

ここまでが正解で、「挑発に乗ったのは間違っていた」と反省の談話を出したことをプラスして大正解となった。

怒りを表すことは一種の芸であると思う。刀を抜いて向かって行き、周りの仲介で矛を収めるまでの立ち回り芸である。

手は出さない。だが、やられっ放しでは特に海外では舐められる。東洋人は何もやっても怒らないと思われているからね。手は出さないが怒りは出す。それで終わりだ。

ユリとは遺恨になるだろう。

次のダービー、アスレティック・ビルバオのホームではブーイングされるかもしれない。だが、まったく殺伐としていない、ゴール裏にさえ敵ファンがユニフォームを着て座っていられるような健全なダービーだから、あの程度のことはスパイスになっても大きなキズにはならない。相手のベテラン、ラウール・ガルシアにも「プレーに集中しようぜ」と諭されたそうだ。

まあ、あのゴールパフォーマンスはカッコ悪かったけど。クレヨンしんちゃん?Twerking? 素直にエンブレムにキスで良かったんじゃないか。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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