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ユナイテッドにとって、マウントの加入は大きなプラスだ
二週間ほど前からマンチェスター・ユナイテッドの株価は上昇していた。株式市場の動きに精通する『The Wall Street Journal』や『Financial Times』、『Bloomberg』が「ユナイテッドの買収に大きな動き」と報じ、スポーツ系のメディアからも「新オーナーは『QIB』(カタール・イスラム銀行)が有力」との情報が数多く飛びはじめていた。
『QIB』の買収が間近ということは、グレイザー・ファミリーが手を引くのだろう。『QIB』の条件は株式100%獲得である。もうひとつの新オーナー候補であるジム・ラトクリフ卿は80%の株を取得し、残り20%はグレイザーが保有すると提案していたが、サポーターの意見は「グレイザー、出ていきやがれ」で一致していた。
なぜならアメリカ人オーナーは2011年にユナイテッドを買収した後、1ペニーすら投資していない。アメリカ在住とはいえ、オールド・トラッフォードに姿を見せるのは年に一、二回。クラブの財政状態が苦しくなっても役員特別報酬を一度も断らず、減額もせず、みずからの懐だけを気にしてきた。
要するに、ユナイテッドは投資の対象でしかなかった。クラブに愛情を示さないオーナーなど、無用の長物だ。100%の怨念を込め、至近距離からスネを蹴りたくなる。
クレイザーが悪政を敷いている間、マンチェスター・シティはジョゼップ・グアルディオラが、リヴァプールはユルゲン・クロップが長期政権を築き、それぞれヨーロッパを制している。ユナイテッドはチャンピオンズリーグと縁遠くなっていった。
なにしろ、めざす次元が違う。シティとリヴァプールはCLとプレミアリーグのダブルをつねに狙ってきたが、ユナイテッドは、いや、グレイザーはタイトルに関心がなかった。プレミアリーグで4位以内に入りCL出場権を得られれば、財政的にも大きなダメージはない……。その程度である。サポーターが怒るのは当然だ。
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