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バルセロナ戦の久保建英とセルヒオ・ブスケツ
先週末レアル・ソシエダがバルセロナに勝利(1-2)しCL出場権獲得に大きく前進した。残り3試合で5位ビジャレアルとは5ポイント差。23日のアルメリア戦に勝利しビジャレアルがカディスに勝てなければ、13-14シーズン最後に途絶えていた欧州最高峰の戦いへの参加が決まる。
もっとも、1991年以来のカンプノウでの勝利には運もあった。それまでホームで2失点・無敗のバルセロナが、この試合だけで2失点。前節リーグ優勝を決め、油断があったことをシャビ監督も認めている。
「相手には勝利の必要性があったが、我われの目的は曖昧だった。1週間お祝い続きの後こういう試合になるのはしょうがない」
シーズン大詰めではカレンダーが明暗を分ける。目的達成済みのチームはアクセルを緩め、スタンドのファンもそれを咎めない。この試合では負けているのにスタンドではウェーブが起きていた。
すべての試合に全力を尽くすのがプロなのだが、目的のない試合ではインテンシティを下げてケガをしないようにするのもまたプロである。
久保建英は途中出場だったが見せ場を作れている。
65分に曲がりながら相手DFの背後、GKの前にピンポイントで落としたFKは見事だった。DFは頭を越されGKは飛び出せない位置へのセルロートをフリーにする、コントロール、タイミング、球質とも抜群のキックだった。これはセルロートが外してアシストにならなかったが、前節ジローナ戦では23分に同じ様なボールをシルバへ送り込んでアシストを記録している。DFの壁ができているのにその頭上を越えて曲がり落ち、ファーポストに回り込んだシルバの足下に急速に曲り落ちた。GKが前に出られず届かない逃げて行く軌道の、当てるだけでネットが揺らせる絶妙のアシストだった。
常に切れている得意のドリブル、運動量が上がった背走と集中力が切れないプレスによる守備、変化を付けた浮き球によるラストパス……。いつ出てもどんな時間帯でも攻守ともに何かやってくれる存在になっている。
「ラ・フェリア(お祭り)? 馬鹿げたことに浮かれている暇は我われにはない」(ベティス戦後。直ちに「いや、セビージャの人にとっては馬鹿げたことではないのだけど」と訂正)、「(2失点した)前半の最後10分間はコミュニケーション不足。前線はプレスに出たけど、後ろは迷いがあったようだ」(ジローナ戦後)。
インタビューでもユーモアがあり歯切れの良い受け答えで、すっかりオピニオンリーダーの貫禄がある。
殻を破った久保が、ソシエダの限界を破ろうとしている。
文:木村浩嗣
木村浩嗣
編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。
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