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第1戦、第2戦の会場となる駒沢体育館
フットサルの全国リーグ「Fリーグ」は2月5日の日曜日にレギュラーシーズンが終わり、11日の土曜日からプレーオフが始まる。12チームによって争われたリーグ戦の2位チームと3位チームが準決勝でまず対戦し、その勝者がプレーオフ決勝でリーグ戦1位チームと優勝を争う仕組みだ。
リーグ戦では名古屋オーシャンズが首位に立った。
名古屋はFリーグが発足して以来、過去15シーズンのうちで14度も優勝しているフットサル界の“絶対王者”。2022/23シーズンも19勝1分2敗という圧倒的な成績で早々と首位を確定させた。90得点ももちろんリーグトップだが、失点もわずか32という安定した数字。いつもながら、分厚い選手層を生かした手堅い試合運びで圧倒的な戦績を残している。
白熱したのが2,3位争いだった。
12月に名古屋が首位を確定した頃には2位以下はかなりの混戦状態だったが、最終的にはバルドラール浦安と立川アスレティックFCが抜け出して一騎打ちの様相となった。浦安がずっと2位をキープしていたものの、浦安は最後の2節で最終順位8位のボルクバレット北九州と同9位のシュライカー大阪に連敗。
一方、2022年12月に入ってから名古屋とのホームゲームでの勝利を含めて8連勝を記録した立川が浦安を逆転し、2位でリーグ戦を終えた。
プレーオフの準決勝は2戦制で行われるが、2位と3位の差は大きい。
2位チームには1勝のアドバンテージが与えられるからだ。つまり、準決勝の2試合が1勝1敗になれば2位チームが決勝に進出するのだ(1戦目で2位チーム、つまり立川が勝利すれば2戦目は実施されない)。3位の浦安が決勝に進むためには、準決勝で連勝しなければならないのだ。これは、きわめて大きなアドバンテージということになる。
リーグ戦終盤で連敗を喫した浦安にとっては2月5日の最終戦から中5日で行われる2月11日の準決勝第1戦までにどれだけチームを立て直せるのかが勝負となる。
浦安は、ピヴォ(トップ)にガリンシャ、フィクソ(DF)にディドゥダ、アラ(MF)に加藤竜馬と東出修椰を置くセットが強力だが、このセットを抑えられてしまうと苦しい。もう1つのセットのピヴォ、柴山圭吾は前線でしっかりとボールを収めてターンしてシュートに持ち込める優れた選手で、フィジカル的にも強さがあるが、まだ18歳になったばかりの若手だ。
一方の立川は36歳になったベテランのフィクソ皆本晃が、4対1で勝利した1月の名古屋戦でも強力な名古屋の攻撃を封じるとともに決勝ゴールとなる2点目を叩き込むなど健在で攻守の要となっている。好調なだけにパスの回り方も、どの試合でも非常にスムースだし、すべてのセットが同じような力を持っている点でも立川の優位は間違いない。
また、立川は黒本ギレルメ、浦安はピレス・イゴールという、ブラジル出身で日本代表のゴールを守るゴレイロ(GK)を擁しているのも注目点。42歳のイゴールは今でも健在だし、かつては好不調の波が大きかった黒本も最近はすっかり安定感を増している。GKが強力なだけに、ゲームをコントロールしてもなかなか得点に結びつかない展開になるかもしれない。
リーグ戦終盤を連勝でフィニッシュした立川が優位に立っているのは間違いないが、短期決戦だけに、何が起こるかわからない。浦安が1戦目をものにすれば、「勢い」は一気に逆転する可能性もある。
準決勝の勝者は、プレーオフ決勝でリーグ戦首位の名古屋に挑戦する。
準決勝と違って、5試合制で行われる決勝では首位チームにアドバンテージはなく、3勝したチームが2022/23シーズンの優勝チームとなる。
ただ、実力的に言えば名古屋が圧倒的な優位にあることは間違いない。
1月14日の第19節で立川が勝利したように、もちろん、名古屋の優位も絶対ではない。
この試合では立川が激しい守りを見せて名古屋の攻撃を封じ込め、前半は名古屋にリードを許したがセットプレーから得点して逆転。立川の激しいプレッシャーに名古屋はチーム全体が苛立って、退場者を出してことで流れを奪われてしまった。名古屋にも“死角”があることを気づかせた試合だった。
1試合か2試合の短期決戦であれば、この時の試合のようにアップセットの可能性も十分にある。だが、プレーオフ決勝は5試合制なのだ。5試合制で行われること自体が、名古屋にとってはアドバンテージと言うことができるのかもしれない。
2月18日、19日の第1戦、第2戦は東京の駒沢体育館で開催されるから立川のホームだが、同24日からの第3戦から第5戦は名古屋のホーム(パロマ瑞穂アリーナ)での開催となるという点でも名古屋にとって有利な条件だ。
準決勝勝者が王者、名古屋を相手に何勝できるかが注目点ということになろう。
なお、2月11日と12日のプレーオフ準決勝と同日にはディビジョン1(F1)とディビジョン2(F2)の入れ替え戦も行われる。
F2では「しながわシティ」が15勝1分0敗という圧倒的な成績で優勝した。
2021年の全日本フットサル選手権大会で優勝し、F1リーグ並みの実力を持つ「しながわ」だが、トルエーラ柏時代にはライセンス問題で昇格が見送られるなど、「昇格」はまさに悲願と言っていい。
対戦相手はF1リーグ最下位のボアルース長野。
昨年の入れ替え戦でも、この2チームが対戦し、第1戦で勝利した「しながわ」は、第2戦でも前半を2対0でリード。昇格が決まったかと思われたが、残り12分から3点を失って昇格を逃している。そうした因縁もあり、こちらも熱い試合になること必至だろう。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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