苦戦中のレアル・マドリー、今週末は公式戦9連勝中のソシエダと対戦

アンチェロッティは、その時々の最適のメンバーで最高のパフォーマンスを引き出すアレンジの天才だ。今は必勝法をカウンターに切り替え、戦術を2つ変更している。

一つ目は、守備では下がって人数を掛けて守る。
W杯前までビニシウスとベンゼマが残り、プレスを掛けて相手のボール出しを妨害していたが、今はベンゼマだけが残り、ビニシウスは左サイドをカバーする。ベンゼマが単独でのプレスを掛けても空振りするだけなので、ロスト後のプレスはほぼ存在しない。その結果、最終ラインも下がった。

二つ目は、ボール出しはシンプルに。
クルトワがロングボールを蹴る回数が増えた。アラバが負傷中、クロース、モドリッチの不在でボール出しの精度が下がった。前述のように中盤のキープ力も下がっている。ならば、中途半端にボールを持って上がろうとせず、ロングボールを敵陣に入れ走り込んだ方が効率が良い。

要は、昨季CL王者となった時の強いのか弱いのかわからないが最後は勝つ、というサッカーに戻っているわけだ。今週末もボールを支配しチャンスの数で上回るのはソシエダで、カウンターを待つのがレアル・マドリーという構図になるだろう。

ソシエダが敵地で勝ち点を奪うには、先制されてカウンター待ちの態勢に持ち込まれることは避けないといけない。コパ・デルレイのバルセロナ戦との絡みもあるが、前線にケガ人が多いから連戦となっても久保を先発させるのではないか。押しているうちに得点しなければ勝ち目がないので、キーマンは久保、セルロート、シルバの絶好調トリオとしたい。

一方、レアル・マドリーのコパ・デルレイの相手はアトレティコ・マドリー。こちらも強敵だが、首位バルセロナから現在の6ポイント差以上離されるとリーグ優勝争いから脱落しかねないとあって、ソシエダ戦の方でベストメンバーを組んでくるだろう。キーマンは、シュートの雨をしのぐクルトワ、チュアメニの代役カマビンガ、絶好調に近いアセンシオとみる。

文：木村浩嗣