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サッカー フットサル コラム 2022年11月29日

グループリーグ第3戦、スペインは全力で日本を叩き潰しに来る

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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スペイン代表 カタール・ワールドカップ グループリーグ第2戦 スペイン対ドイツ

第2戦は引き分けとなったスペイン代表

日本に対して、スペインが手加減することは決してないだろう。

メンバーの大幅な入れ替えはある。
1、2戦ではあまり見なかった面々が並ぶとみる。だが、それはコスタリカ戦とほぼ同一メンバーで臨んだドイツ戦でフィジカルな戦いに敗れて自陣に引き籠る時間が長くなり、やっと勝ち点1を拾うという展開になったせいで、レギュラー陣の疲労は極限に達しているはすだからだ。

決して、引き分けでも決勝トーナメント進出、敗れても勝ち上がれる状況になったせいで、手を抜いてくるからではない。

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本来、スペイン人は駆け引きは得意である。
明日できることは今日しない、勤勉が必ずしも美徳ではないお国柄だ。目的を達成したら手加減する、というのは不名誉なことではなく、エネルギーを節約するという意味で現実的で、大人の対応だと考えられている。

ロシアW杯で日本がポーランドにやったような、1点差で負けても勝ち上がりだから“お腹を見せて”攻めない意志表示をして、暗黙の了解のまま終わらせる、というのはスポーツマンシップに反する、という風には受け取らない。

名よりも実。シーズン終盤には無気力試合らしきものもあり、第三者が勝利ボーナスを出す、なんて噂が絶えないのが、ラ・リーガなのだ。

4年前のスペインがポーランドの立場にあれば、直ちに日本のメッセージを受け取り、両者笑って決勝トーナメント進出の道を迷わず選んでいたことだろう。

だから、国民性からしても、サッカー界の慣習からしても、引き分け狙いを受け入れる土壌はあるではある。

だが、この今のスペインに限ってはない。
なぜなら、監督ルイス・エンリケがそれを許さないからだ。

スーパースター不在の若いチームがここまでやれているのは、「リスクを負って全試合勝ちにいく」という強い気持ちで結束しているからだ。そのタガを緩めて、“負けなければいい”なんてメッセージを発してしまうと、前向きの気持ちが後ろ向きに、強気が弱気になりかねない。たとえ勝ち上がっても、そのツケは必ず決勝トーナメントで必ず回ってくるだろう。

これが成熟したチームだと事情が違っていただろう。
例えばCBコンビがベテランで、酸いも甘いも噛み分けたセルヒオ・ラモスとピケであれば、グランドレベルでアクセルとブレーキの加減を調整できたかもしれない。

例えば、勝ちにいった結果、残り10分で同点だった場合、互いに攻め合わないという暗黙の了解を受け入れて、チームメイトに指示できたかもしれない。

だが、パウ・トーレス(25歳)、エリック・ガルシア(21歳)という、ベンチ生活で力を持て余しやる気満々のフレッシュコンビが、鬼の形相でベンチから見張っているボスの命令に反して、インテンシティを下げることは想像できない。そこで温厚なデル・ボスケがニコニコ笑っていたら話は別なのだが。

だから、スペインは全力で叩き潰しに来る。
引き分けを狙って引き分けられるほど、このチームは成熟していない。そういう本気のスペインを見たいし、そうでなければ上位進出なんて望めない。そして、その本気のスペインに対して日本が何をでき、何ができないのかを見極めてみたい。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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