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サッカー フットサル コラム 2022年8月30日

U−20女子日本代表の猛反撃も届かず・・・。前半の3失点が最後まで重荷となった決勝戦

後藤健生コラム by 後藤 健生
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そして、スペインはカウンターを狙うというよりも、守備の選手を投入して5−4−1の形で跳ね返すという戦い方を選択肢、以後は一方的な展開となったのだ。

そこで、思い出したのが例の「2対0は……」という言葉だった。

もし、スペインのリードが2点で、日本が後半の立ち上がりに1点を返したのだとしたら、スペインはかなり浮足立っていたはずだ。だが、実際にはリードは3点であり、日本が1点を返しても、まだ2点差があったのだ。「それなら、守れる」とスペインのベンチは判断したのだろう。だからこそ、あれだけ早い時間から「守備を固めてリードを守り切る」という割り切り方ができたのだ。

もちろん、日本の選手たちにも「まだ2点差ある」という重圧がかかり、攻撃面で焦りが生じてしまうことになった。

そういう意味でも、3点目につながったあのハンドの判定は残念でしかたがない。

しかし、終わってみれば90分を通して日本のポゼッションは54%に達し、シュート数でも14本対9本と日本が上回った。もちろん、それはリードしているスペインが「引いて守る」という戦い方を選んだことの結果なのではあるが、それにしても日本の力がスペインよりも劣っていたわけでは絶対にない。

そして、日本のパスをつないでのテクニカルな攻撃は現地の観衆の気持ちも引き付けたようで、会場のエスタディオ・ナシオナルには日本に対する声援とゆっくりプレーして時間を使おうとするスペインに対するブーイングが飛び交うこととなった。

結果として優勝は逃したものの、この大会を通じて得たものはきわめて大きかった。

ゲームを支配しきっていたのにシュートを枠に飛ばせずに僅差の勝利となったオランダ戦から始まって、ガーナとアメリカには快勝。フランス戦では相手のフィジカルに苦しんだ。そして、1点リードされたまま迎えた延長後半のアディショナルタイムにPKをゲットして土壇場で追いつき、PK戦で準決勝に進むという大変な試合を経験。ブラジル戦でも相手の「個の力」に苦しんだが、最後は山本と浜野で生み出したスーパーゴールで勝利。決勝戦では、いきなり3失点から盛り返して敗れてはしまったものの、最後はスペインを相手陣内にくぎ付けにするという試合も経験した。

実に多様な相手と対戦し、さまざまな試合展開を経験した。ワールドカップに来なければ、そして6試合目まで勝ち進まなければ体験できないような貴重な経験を持ち帰ったわけである。

この経験を生かして、これから彼女たちがどのような選手に成長していくのか。そして、U−20年代の世界大会で2大会連続で決勝に進出した若い選手たちを生かして、どのようにしてフル代表による女子ワールドカップで再び世界の頂点を目指すのか。

女子の日本代表にも大いに注目したい。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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