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サッカー フットサル コラム 2022年7月25日

レアル・ソシエダに新加入の久保建英 上々デビューでわかったこと

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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レアル・ソシエダでプレシーズンに臨む久保

レアル・ソシエダでプレシーズンに臨む久保

レアル・ソシエダ入りした久保建英が、23日ドイツで行われた親善試合に出場した。

練習開始が20日、わずか3回の練習を経ての実戦デビューだったが、本人の動きも良く、何より周囲との理解度の高さは予想以上だった。

ボルシア・メンヒェングラートバッハ戦、後半45分間でいくつかわかったことがある。

まず、ポジション。

久保に与えられたのは、[4-4-2]の中盤ダイヤモンド型の頂点、2トップの下だった。前半シルバがプレーしていたところだ。シルバと併用された、久保とタイプが似ている新加入のブライス・メンデスはダイヤモンドの右に置かれていた。トップ下であれば久保はシルバと、右サイドであればブライスとポジション争いをすることになるのだろう。

どちらが久保にとってやり易いか? それは単純に守備の負担が少ない方だと思う。

昨日のフォーメーションであれば下がる距離が短いトップ下。ソシエダが他に良く使う[4-1-4-1]なら2列目の右、[4-3-3]であれば1列目の右の方が向いている。もっとも、シルバは走らせられないので久保を走らせるとか、久保とブライスなら馬力のあるブライスを走らせるとか、個の組み合わせによっても変わる。もし、昨日シルバと一緒に先発していればトップ下がシルバで、久保は右サイドだったろう。

苦手な守備はさほど目立たないだろうと思っていたが、昨日の試合はその通りになった。

ソシエダの、後方からボールを繋ぎ、パス交換しつつ上がって行くスタイルであればボールロスト時に周りにチームメイトがたくさんいる。守備のファーストアクションである、ロスト時の激しいプレスはそうでなければ成立しない。

久保がボールを失う、背後の選手が上がってボールホルダーへプレス、相手が行き場を失ったところで久保が戻って来てプレスして奪い返す、というシーンが2度ほどあった。ソシエダの戦い方なら久保のロストの場所は敵陣深くで、奪い返す場所も敵陣になる、というのが普通である。

問題はボールをポゼッションさせてくれない相手との対戦で、その場合には久保の起用を躊躇するということもあるかもしれない。

トップ下の適性があることは昨日の試合ではっきりわかった。

マジョルカでスペースのある右サイドに置かれ、ドリブル勝負を仕掛けて抜く姿ばかり見ていたので、窮屈なトップ下はどうかと懸念していたが、少ないタッチで軽快にボールを動かし、パス&ランで自分も動いてからリターンをもらって状況を変える、という仕事がきちんとできていた。

驚かされた連係の良さは、すでに述べた2つの点ーーパス&ゴーの後のリターンが久保に戻ってくる、少なくとも久保を探してくれる(マジョルカではどちらもなかった)と、連動したプレスでボールを奪い返せるーーに加えて、相手のボール出し時の対応にもうかがえた。

相手がボールを出す時、ソシエダの2トップは2人のCBをマークし、久保がセントラルMFを抑えるのが原則だが、プレー中は流動的に対応しないといけない。

もう1人MFが下がって来たら? 2トップの1人がサイドに引き出されていなかったら?

こうした例外にも久保は周囲とポジション&役割チェンジをしながらきちんと対応していた。わずか練習3回なのに。

これは想像だが、似たスタイルをバルセロナ時代に経験していて、何をすればいいかがわかっているから、自分も周りを、周りも自分を理解できるのだろう。

流動的な状況での高い相互理解は、マジョルカ時代には見られなかったことだ。この点だけでソシエダに入って良かった、と思う。

GKとの1対1を決められなかったシーンは、日本でも繰り返して流されているのだろう。

サイドに流れたFWがゴール前へ侵入する久保をちゃんと探してパス、それをピタッと左足で止めて一瞬のフェイントでかわしたか、と思えた瞬間にGKの足が伸びてきた。あれはゾマーがうまかった。さすがスイス代表である。

今季の久保の課題は、守備ではなくて攻撃、得点に直結する仕事だと思っているが、あれは気にすることはない。

上々のデビューの一点の曇りにもならない。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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