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サッカー フットサル コラム 2022年7月19日

こんにちはレバンドフスキ、さよならデ・ヨング

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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レバンドフスキ

レバンドフスキ

久保建英のレアル・ソシエダ入りが秒読み段階だそうだ。前に「久保がレアル・ソシエダに行くべき理由」で書いた通り、久保にとって唯一理想的なクラブだった。これでスペインで彼の姿をもう1年見ることができることになる。

さて、今回は話題のレバンドフスキのバルセロナ加入と、その陰の犠牲者フレンキー・デ・ヨングについて書こう。

「こんにちはレバンドフスキ、さよならデ・ヨング」

映画や歌のタイトルならこうなる。2人の気持ちは“バルセロナにいたい”という点で一致している。だが、2人は一緒にいられない運命だ。

説明しよう。

バルセロナは今も財政危機にあるが、ラポルタ会長が形容していた「危篤状態」からは脱した。だからこそ、今夏、派手に補強できている。ケシア、クリステンセンはタダ(自由契約)だったが、ラフィーニャとレバンドフスキに合わせて1億ユーロほど(約140億円)費やしている。

なぜなら、金策の目途が立ったからだ。

プロサッカークラブが通常の売上以外に緊急に一時金を工面する方法は4つある。

1つは株式の増資。ソシオ制のバルセロナは株式会社ではないのでこの手は使えない。2つ目はローンを組む。巨額負債が抱える彼らには現実的ではない。3つ目は手持ち資産の現金化。クラブはグッズなどの販売権の一部を売却した。4つ目は将来の売上高の先取り。クラブは将来の放映権料の一部を売却した。最後の2つの方法で一時金を手にしたバルセロナはこれで市場に買い物に出掛けた、というわけだ。

だが、一方で経営を悪化させた元凶――選手の高額年俸――は手つかずのままだ。

その証拠に、4人の新戦力の選手登録はなされていない。ラ・リーガが定めた年俸枠をオーバーしているからだ。

一時金は一時的に経営を好転させる。しかし、ラ・リーガが求めているのは長期的な安定経営である。今が良くても来年また資金繰りがショートするような経営を許容することができない。そのためにプロクラブの支出の大部分を占める年俸に枠をはめているのだ。

この年俸削減と、さっきの資産売却という二重の意味で不可欠なのが、デ・ヨングの放出なのだ。

彼が出て行かないと、レバンドフスキがプレーできない。大変に良い選手で未来のために重要な戦力なのに、お金の都合でバルセロナには居場所がない。

デ・ヨングだけでは不十分でメンフィスの売却も必要という報道もある。スター獲得は景気の良い打ち上げ花火であるが、祭りの後の片付けと掃除は、9月の市場閉幕まで時間をかけてこっそりと行われることになる。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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