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サッカー フットサル コラム 2022年7月5日

移籍市場本格開幕

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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レアル・マドリー

レアル・マドリー

6月30日をもって21−22シーズンが正式に終了した。コンペティション上は一足先に閉幕していたが、これでマネージメント上も幕を下ろしたことになる。

6月末日で契約が切れ自由契約となった有力選手は、リーガエスパニョーラでは、デンベレ(元バルセロナ)、ヤヌザイ(元ソシエダ)、ルイス・スアレス(元アトレティコ・マドリー)、イスコ(元レアル・マドリー)ら、他国に目を向ければ、フランク・ケシア(元ミラン)、ディバラ(元ユベントス)、ポグバ(元マンチェスター・ユナイテッド)、クリステンセン(元チェルシー)らがいる。移籍先が内定済みの選手もいるようだが、コロナ禍の影響で冷え込みが予想される移籍市場で、彼らは主役になるだろう。

さて、本格的に開いた移籍市場で、今年もリーガ勢はプレミア勢の買い物を指をくわえて見ている、という夏になりそう
だ。

コンペティション上はリーガはプレミアと欧州の頂点を争っている、という自負がある。昨季のCLベスト4は2チームずつプレミアと分け合い、優勝はレアル・マドリーだった。しかし、移籍市場ではプレミア勢にはまったく歯が立たない。
もともとの経済力が違う。

例えば、20−21シーズンの売上高のランキングでは、ベスト20にリーガ勢は3クラブ、プレミア勢は10クラブ(『フットボール・マネー・リーグ2022』より)。クラブの市場価値ランキングではベスト20にリーガ勢は3クラブ、プレミア勢は8クラブ(『トランスファー・マルクト』より)。

加えて、今夏の特殊事情がある。

リーガ勢の「3クラブ」というのは言うまでもなく、レアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーなのだが、レアル・マドリーは新スタジアムの建設費がかさんで、バルセロナはご存じの通りの史上最悪の財政危機で、アトレティコ・マドリーは近年の大盤振る舞いのツケで、補強費が絞り込まれる見込みである。

昨夏、プレミア勢は選手獲得にリーガ勢の5倍近い費用を投じた。今夏も出足ですでに同程度の差が付いており、差は開くことはあっても縮むことはないとみる。

両リーグの現実を象徴した売り買いがある。

昨年の移籍市場でバルセロナにやって来た、エリック・ガルシア、アグエロ、オーバメヤン、トラオレはそれぞれプレミアで戦力外だったり、それに近い扱いだった選手だった。

今夏、セビージャのジエゴ・カルロスはアストン・ビラに移籍した。財政が苦しいセビージャにとっては一息付ける中商い(3100万ユーロ)だったのだが、昨季リーガ4位のチームのレギュラーCBがプレミア14位のチームに買われていっていいのだろうか? セビージャのもう一人のレギュラーCBクンデの行き先もプレミアで、買い手はおそらくチェルシー。噂のバルセロナには大商いに相応しい移籍金を用意できないだろう。

“プレミア中・下位でもリーガ上位から買い物ができる”というのが、市場での力関係なのだ。

移籍市場での格差は最終的には戦力格差となって表れる。

すでに「市場価値ランキング、ベスト30」にプレミア所属の選手は16人入っているが、リーガのそれは4人しかおらず(『トランスファー・マルクト』)、差が縮まる材料はまったくない。

つまり、プレミア勢の購買力に対抗できるのは、リーガではレアル・マドリーだけ。国内ではレアル・マドリーの購買力に対抗できるクラブはない、ということだ。

となると、新シーズンの勢力分布もこう予想できる。

欧州カップ戦でプレミア勢と優勝を争えるのはレアル・マドリーだけ、リーガではレアル・マドリーの独走が続く、と。

まったくロマンのない話ではあるが……。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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