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ポルトガル戦でのゴール後に喜ぶ選手たち
本来なら夏休みの時期に30度近い猛暑が続く中での試合、その肝心の、欧州のカレンダーを狂わせたカタールW杯はまだ半年先ーー。ということで、戦力を分析する状況ではないが、日本と同組だということで、先週のネーションズカップ2試合、対ポルトガル(2日。1-1)、対チェコ(5日。2-2)のスペインについて気が付いたことを記しておく。
この2試合、現地で最も問題視ーー日本から言えば付け入る隙ーーされているのは、ロングボール一発でGKと1対1とされる守備の脆さ。チェコ戦ではオフサイドトラップを2度、SBが壊し、そのうち1つで先制を許し、CBが背中を取られて勝ち越された。3度のGKとの1対1で2失点したわけだ。
ポルトガル戦ではサイドからワンツー一発で裏へ抜けられ、折り返しに逆サイドの守備が間に合わずフリーで押し込まれた。ポルトガルは前半、コンビによる打開を狙っていたが、スペインのロスト後の激しいプレスに阻まれた。で、後半はシンプルに裏へボールを送り込む策に変えたのが奏功した。
スペインの最終ラインは高い。裏へ通されるリスクをロスト後の激しいプレスとオフサイドトラップで回避しているわけだが、今のところ機能していない。もし1週間後にスペインと当たるなら、ここが日本の狙い目になる。ハイボールに強いCFが頭で後ろへすらしたボールを、縦に速いセカンドトップが拾って真っ直ぐドリブルでゴールへ向かう形が理想的。これで90分で2、3度はチャンスが生まれるだろう。回数が少ないが、GKとの1対1に近い絶対的なチャンスになるはずだ。
もう一つの目下のスペインの課題は、SBとウインガーのコンビが未確立なこと。同じポゼッションスタイルのマンチェスター・シティは、逆足の両ウインガーがラインぎりぎりに張り、両SBは内側のスペースを走り上がるコンビが確立している。どんな顔ぶれでもほぼこのパターンで、例外的にSBがサイドに張る時はウインガーが中へ入りCF化する。
しかし、スペインはウインガーが逆足だったり順足だったりし、SBも攻撃的だったり守備的だったりする。これら個々の特徴とスコアや展開などを総合的に判断して、SBはMF化して後方からのサポートをしたり、内側を駆け上がったりと役割を変える。
良い面を見れば変幻自在なのだが、悪い面を見れば行き当たりばったり。攻守でSBをうまく戦力化できておらず、攻撃では厚みを加えられず、守備では簡単に裏を突かれる。
この2試合では攻撃参加を自重するシーンが目に付いた。背中を狙われるのを警戒していたのだろう。にもかかわらず、あれだけのGKとの1対1が生まれた……。
スペインは戦い方にもメンバーにもサプライズがなく、苦戦するパターンも決まっている。今回のチェコの戦い方は、日本に大いに参考になるはずだ。
文:木村浩嗣
木村浩嗣
編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。
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