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サッカー フットサル コラム 2022年5月18日

スーパータッグの活躍でトッテナムはCL出場権獲得の公算大

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ハリー・ケインとソン・フンミン

ハリー・ケインとソン・フンミン

バタバタしていた。

二転三転した挙句、第一希望でも第二希望でもないヌーノ・エスピリト・サントが、昨年7月1日に新監督に就任。コミュニケーション能力が低く、選手との間に大きな溝が生じる。わずか4か月で解任。

さらにディレクターのファビオ・パラティーチは、「交渉成立間近」と伝えられた冨安健洋を、よりによって怨敵アーセナルに奪われるヘマをやらかした。

そうそう、ハリー・ケインはマンチェスター・シティへの移籍をマジで希望していた。

「チャンピオンズリーグに出たいんじゃ」

サント解任後、アントニオ・コンテを新監督に招聘した後もすぐに好結果は得られず、超負けず嫌いの指揮官は本心か、あるいはドン・レヴィー会長やパラティ―チに対する牽制か、記者会見で不満を露わにしたこともあった。

「現有勢力では勝てない。わたしのリクエストにだれも応えてくれない」

しかし、2021-22シーズンも大詰めを迎えたいま、トッテナムは37試合を消化して勝点68の4位。5位アーセナルに2勝点差をつけ、CL出場権獲得がみえてきた。

時間はかかったものの、コンテ監督のプランが浸透しつつある。自陣に5-4-1のブロックを築いてしっかり守り、ボールを奪った後は手数をかけずに前線へ。この際、アバウトなパスでもボールコントロールにすぐれたケイン、スピード豊かなソン・フンミンであれば相手DFとの一対一で勝てる。

彼らはトッテナムの生命線であり、今シーズンもふたり合わせて37ゴール・15アシスト。総得点の81・25%に関与している。ちなみに昨シーズンは驚異の94・11%! 一昨シーズンは67・21%。いまや世界に誇るスーパータッグといって差し支えない。

また、守備は先述した5-4-1のブロックが基本形で、前線から激しく追いまわすスタイルではない。一定の圧力をかけながら、ブロックの内側にボールが入ってきた場合は、ピエール=エミル・ホイビュアとロドリゴ・ベンタンクールの中盤センターを軸に厳しく対応する。

要するにケインとソンの大活躍、そしてコンテ監督がユベントス、チェルシー、インテル・ミラノ、イタリア代表に植えつけた守備戦術により、18-19シーズン以来となるCL出場権獲得の公算が非常に大きくなってきた、というわけだ。

最終節のノリッジ戦(アウェー)に負けなければ4位以内が確定する。仮にアーセナルがホームのエヴァートン戦で勝利を収め、勝点で並ばれたとしても、15もの得失点差を覆せるとは思えない。

CL出場権を手にさえすれば、来シーズンに向けた補強もスムーズになる。ヨシュコ・グバルディオル(ライプツィヒ)やアレッサンドロ・パストーニ(インテル)、ステファン・デ・フライ(ラツィオ)など、コンテ監督が獲得をリクエストしたとされるセンターバックとの交渉でも、吉と出るに違いない。

ローン移籍中のクリスティアン・ロメロ(アタランタ)とデヤン・クルセフスキ(ユベントス)も、買い取りオプションを行使して本契約に切り替える見込みだ。

ブライトンやバーンリー、サウサンプトンに敗れたり、不振にあえぐマンチェスター・ユナイテッドにダブルを喫したり、今シーズンもサポーターをモヤモヤさせたトッテナムだが、終わりよければすべて良し。プロは結果で判断される。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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