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サッカー フットサル コラム 2022年4月5日

日本対スペインのカードがワールドカップで遂に実現!『マルカ』紙は「ドイツの名が出て上がった緊張感が日本の名を聞いて下がった」

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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スペイン代表のルイス・エンリケ監督

抽選会で笑みを見せるスペイン代表のルイス・エンリケ監督

スペインと日本がやっとW杯で戦うことになった。親善試合では2001年4月に一度だけ顔を合わせているが、公式戦では初めてだ。

あの試合のスペインは酷かった。「日韓W杯の前哨戦」という触れ込みだったが、明らかに緊張感とモチベーションを欠いたプレーぶりで、後半ロスタイムのゴールでやっと勝利。“先進国スペインが発展途上の日本にサッカーが何たるかを教えるもの”と信じていた私が馬鹿だった。

「日本とも対戦したよ。我われが勝ったけど」。ラジョ・バジェカーノの監督だったパコ・へメスにインタビュー中、言われたことがある。彼はその試合、CBとして90分間プレーしていたのだった。自慢気だったので、「やっとじゃないですか、ロスタイムに」と言い返すと「よく覚えているな(笑)」と返ってきた。

あれからスペインは変わった。予選にはやたら強いが本番にからっきし弱い“有敵艦隊”だったのが、W杯で優勝しEUROでも連覇を果たし本物の強豪になった。前は“本番じゃないからやる気が出ない”なんて言い訳をするようなチームだったからこそ、本番でも勝てなかった。あの日本戦が典型例である。

日本も変わった。W杯出場を7回連続で果たしてアジアの強豪となり、ベスト8入りが現実のものとして見えてきた。

スペイン人に日本代表や日本人選手のことを褒められることも多くなった。例えば、前回ロシア大会のベルギーを追い詰めたチームは、元バルセロナ監督のキーケ・セティエンに絶賛されたものだった。

昨夏、五輪の準決勝で対戦した時は延長戦のゴールで辛勝。同じ辛勝でもこちらは日本の強さが実感できた。内容も滑り出しこそスペインが上だったが、後半になると日本の方が良くなり体力面では上回っていたこともあり、どっちが勝ってもおかしくなかった。

だから、カタールでも日本にも勝機があると思っているが、スペインでは楽観論の方が多い。「ドイツの名が出て上がった緊張感が日本の名を聞いて下がった」(『マルカ』紙)を代表とする二強二弱という見方が一般的だ。

今回スポーツ紙4紙、一般紙3紙の評論を読んでみたが、うち5紙が手頃なグループで恵まれた抽選だった、と結論付けていた。楽観的でなかったのは日本を「大変手強い」、「楽ではない相手」とした2紙だけで、それらは五輪での苦戦を根拠としていた。

スペインはルイス・エンリケ監督の、調子の良い選手を呼ぶのではなく、自分が描くスタイルに適応できる選手を呼ぶ、というやり方が奏功し、昨夏のEURO時よりも強くなっている。調子の良い選手による最強の組み合わせを即興的に模索する監督が多い中で、まずスタイルありきの育成型のチーム作りは、時間がかかるが伸びしろがある。よって、W杯の頃には日本との差が開いている可能性もある。いずれにせよ、これまで脳内シミュレーションするしかなかった両国の力関係が明らかになる。サッカーを通じた交流と相互理解という意味でも喜ばしい。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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