人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2022年2月28日

久保建英の好調を象徴するスタッツ

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
  • Line
バレンシア戦の久保建英

バレンシア戦の久保建英

先週末のバレンシア戦マジョルカは敗れたが、相手選手を含めて久保建英がMVPだったことを疑う者はいないだろう。

その傑出ぶりは数字にも表れている(以下、数字は断りがない限りすべてデータ分析サイト『Who Scored?com』による)。

まずはシュート4本:前節までの本人の1試合当たりの平均は1.9本で、悪い数字では決してなくリーガでも24位に付けていた。ちなみに1位はベンゼマの3.8で、2位がラウール・デ・トマスの3.6、3位はダンジュマの3.1で、平均3本以上なのはこの3人しかおらず、仮にバレンシア戦のペースを維持できれば、スペインでもトップクラス入りは保証されている。

が、数字を追っていくと、久保が決定的に劣っている面も見えてくる。それは枠内シュート率の極端な低さだ。ベンゼマが18ゴール、ラウール・デ・トマスが13ゴール、ダンジュマが8ゴールに対して、久保は1ゴール。出場試合数の差ももちろん影響しているが、それ以上に、ベンゼマ58%、ラウール・デ・トマス53%、ダンジュマが57%を枠内に飛ばしているのに対して、久保のそれは24%に過ぎないことが大きい。日本代表やJリーグ時代にどんな数字を残したかはわからないが、今の久保は唯一この点がもの足りない。

次に被ファウル5:被ファウルはドリブラーの勲章である。ドリブルの成功率と被ファウルは一般にリンクする。ドリブルを仕掛けて抜き掛けたところで、ファウル覚悟でDFが足を入れてくるからだ。

前節までの本人の1試合平均1.8も悪い数字ではなく、リーガで26位に付けている。が、5というのは、ファウルでないと止められない今の好調ぶりを雄弁に物語っている。

これも超一流どころと比較してみよう。1位がジョアン・フェリックスの2.6、2位がフェキルの2.5、3位が同数でムニアインとビニシウスの2.4。4人に共通しているのが、緩急のリズムチェンジに切れ味があり、ゆっくり進んできていきなり加速するため、DF側からすればボールを奪いに行ったはずが遅れて、足を引っ掛けてしまう。

この「加速」には足の速さだけでなく、意表を突いて対応を遅らせる、という意味の速さも含まれている。ビニシウスは純粋に足が速いが、フェリックスとフェキル、特にムニアインはそうではない。ただ、テクニックに優れていてボールの動かし先が予測できない。フェイントが巧みで切り返しが深く、思わず足が出て倒してしまう。久保もトップスピードではなく、スピードの変化で勝負するタイプだ。

最後3つ目の数字が、3枚のイエローカードを誘ったこと。残念ながらこれには統計がないのだが、1人の選手が1試合で3枚というのは記憶にない。2枚なら12月にビニシウスがアスレティック・ビルバオ戦で記録したことがあったが……。被ファウルの延長にイエローカードがあり、これも今の久保のベストのプレー=ドリブルの証明だろう。

余談だが、久保自身もこの試合でイエローをもらった。通算4枚目。審判へのアピールの度が過ぎたからだが、見ていると彼はよくジャッジに文句を言っている。ここも彼の日本人離れしたところで、スペイン育ちであることがよくわかる。イエローをもらうと“信じられない”というように手をヒラヒラさせていたが、あれは審判への侮辱と取られて心証を悪くするから要注意だ。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ