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サッカー フットサル コラム 2022年2月7日

カップ戦なら2強に匹敵!アスレティック・ビルバオ強さの源泉

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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アスレティック・ビルバオ

ゴール後に喜ぶアスレティック・ビルバオの選手たち

先週の週中に行われたコパ・デルレイ(国王杯)の準々決勝、マジョルカは敗れてしまったが、アスレティック・ビルバオはレアル・マドリーを破って準決勝に進んだ。前ラウンドではバルセロナを破っていた。

アスレティックは伝統的にカップ戦に強い。23回優勝はバルセロナの31回に次ぐ歴代2位でレアル・マドリーを上回る。最近でもコパ・デルレイで昨季、一昨季に準優勝、昨年のスペインスーパーカップで優勝している。ソシエダを敵地で一蹴(0−4)したベティスが絶好調なのでわからないが、実績からして「優勝候補筆頭」と言ってもいいだろう。

アスレティックには思い入れがある。できれば勝ってほしい。バスク地方生まれ、もしくは育ちの選手だけで構成するというフィロソフィーを守りながら、カップ戦なら2強に匹敵する強さを保ち、その強さの秘密が、クラブ愛であり地元への忠誠心である、というところが尊敬に値するからだ。

ちなみに、私もかつて使っていた「バスク純血主義」という言い方は間違い。そうであれば、両親がガーナ人のイニャキ、ニコのウイリアムス兄弟はアスレティックに入れていない。

なぜ、愛や忠誠心でチームは強くなるのか?

体力の限界を超えても走り続けられ、ぎりぎりの局面で足を入れられるからだ。“負けても俺には関係がない”、“クラブよりも自分のキャリアの方が大事”という選手たちではこうはいかない。プロとしてケガを恐れて“足加減”することは一概には非難できないが、アスレティックには多分そんな選手はいない。彼らを動かしているのはプロ意識ではなく感情だから。

高年俸を求めて選手はクラブを渡り歩き、クラブも高値で売却することを収入源にする今、愛や忠誠心は稀薄になる一方だから、クラブと仲間と地元との強い絆で結ばれているアスレティックのアドバンテージはむしろ拡大している、と言える。金満サッカー界だからこそ、その逆を行くチームが相対的に強くなっている、という逆説が面白い。

選手たち同士も当然仲がいい。良過ぎてバンドを組んでいるほどだ。バンド名は「オルサイ」:FWビジャリブレ(トランペット、ボーカル)、右SBデ・マルコス(ギター)、左SBバレンシアガ(ギター)、MFベスガ(ギター)、MFダニ・ガルシア(ドラム)、右SBレクエ(ベース)で、デビュー曲はその名も「ワンクラブマン」! メンバーのうちビジャリブレとレクエ以外はレアル・マドリー戦でも出場していた。タイトル獲得など重要な勝利を祝う時には、ビジャリブレのトランペットの音頭でロッカールームで凱歌を揚げるのが恒例になっている。

その他、地元愛をうたうクラブだけに、昨今当たり前の「練習非公開」なんてケチ臭いことを言わず、ファンサービスしているところも好感が持てる。

サッカークラブの原点のようなクラブであり、彼らが勝てるうちはスペインサッカーも健全。これからも応援していきたい。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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