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サッカー フットサル コラム 2021年12月14日

よくあるルールの誤解

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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バイエルン・ミュンヘンに0-3で敗れたバルセロナ

バイエルン・ミュンヘンに0-3で敗れたバルセロナ

いきなり質問です。

ボールがラインを割ったか否かとは「ボールがゴールラインまたはタッチラインを完全に越えた」(サッカー競技規則第9条)か否かなのですが、「完全に越えた」の判定はどの部分で行うのでしょう?

A:ボールの接地点
B:ボールの外周部分

わかりますよね?

答はB。簡単だけど、これ、以外にAと勘違いしている人が多い。

CL第6節バイエルン対バルセロナの3点目のシーン。デイビスのセンタリングがスローモーションとストップモーションで流れた時、「ラインを割っているように見えます」と言ったスペインのアナウンサーは、勘違い組だ。

外周で見れば完全にラインにかかっているが、接地点で見れば微妙。おそらくボールが触っているのは、ゴールラインの外側にある芝生だ。

サッカーボールの直径は約22cmある。

このくらい大きいと、外周がラインにぎりぎり掛かっている場合には接地点はライン外にある。真上から見ると、外周はラインにかかっているが、真横から見るとボールはライン外の芝生の上に乗っている。

これ、ルール上はもちろん「ボールイン」。

インとアウトの判断は、ボールを真上から見て外周(=ボールを地面に投影した円)が掛かっているかどうかで判断される。が、感覚的に言えば、ボールが転がっている(=触れているのは)のは外なのだから、ボールアウトと言いたくなる気持ちはよくわかる。

みなさんも実際にボールを置いてみればわかるが、外周がラインにかかっている状態ではボール全体の9割以上は外に張り出している。人の直感からすると「外」なのだが、ルール上は「内」。この食い違いが、誤解を生みやすくしている。皮膚感覚とルールが合わないのだ。

テニスのルールとの混同もあるかもしれない。テニスではラインに触っていればイン。判断基準は外周ではなくて接地点だから。

得点か否かも外周によって判定される。

外周が少しでもゴールラインにかかっていれば、ボールがゴール内に着地していてもノーゴール。バイエルンの1点目でゴールラインテクノロジーが見せてくれた映像は、外周が完全にゴールラインを越えていることを明確に示していた。

さて、ここで再び感覚とルールの違いに話を戻す。

実際にグラウンドでプレーしていて、サイドラインを割ったという旗が上がり過ぎでいるように感じませんか? 線審って、感覚つまり接地点で判断しているように感じるんだけど。

ゴールラインにはテクノロジーがあるがサイドラインを見張っているのは人間の目。だから、「ボールの大部分が外にある=出ている」という直観に引っ張られているのではないか、と思う。笛を吹かれた選手たちの方も「外周は出ていない!」なんて抗議せず、「まあそうだよね、出てる感じだよね」というくらいのいい加減さで容認しているように感じる。

これはリーガエスパニョーラでも同じだ。

みなさんはどう感じますか? 得点に直結するようなジャッジは別にして、普通のスローインの笛って結構いい加減に見えるんだけど……。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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