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サッカー フットサル コラム 2021年11月30日

久保建英が戦列に復帰。次節アトレティコ・マドリー戦で先発あるか?

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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久保建英

復活した久保建英

久保建英が2カ月ぶりに復帰した。プレー時間は25分ほどだったが、不可欠な存在であることを証明した。

その分析は後回しにして、先に久保不在のマジョルカに起こったことをまとめておきたい。

ケガをした第6節レアル・マドリー戦を終え2勝2分2敗だったチームは復帰戦の第15節ヘタフェ戦終了時で3勝7分5敗。この間1勝しかできず、順位を11位から14位に落とした。得点不足というわけではなく得点力はむしろ上がっているが、失点がそれ以上に増えた。負けが込んでいるわけではないが勝ち切れず引き分けだけが増えている。
優勢の試合で土壇場で追いつかれる、ルイス・ガルシア監督が言う、「パーソナリティ不足」という面もある。

先々週の大敗したラジョ・バジェカーノ戦以外は戦えており、内容が悪いわけではないが下り坂――そんなチームのカンフル剤に久保はなり得る。

マジョルカの構造的な問題点ははっきりしている。GK、CBからのボール出しができないこと。ヘタフェ戦でもプレスを掛けられているわけではないのに、大きく蹴っていた。足技のあるCBライージョがケガで長期欠場中という事情もあるのだろう。

ターゲットは[4−2−3−1]の1トップのアンヘルと右サイドのムボウラだったが、いずれもポストプレーのスペシャリストとは言い難く成功率が低い。ボールをすぐ失ってしまうのでポゼッションが上がらず、ラインも上げられず、SBの攻撃参加もできない。さらに、ボランチ経由で持ち上がってマークを引き付ければ、空くはずのサイドが空かず、サイドで崩して中央でフィニッシュ、という形に持ち込めない。マジョルカはサイドからのセンタリング本数がリーガで最少のチームである。

この点は久保が入ってはっきり改善した。久保もポストプレーはできないが、足下のボールを失わず、持ち上がることができるからだ。

CB→右SB経由で、あるいはCB→トップ下→ボランチ経由で、サイドぎりぎりに張っている久保にボールが入る。と、半身の彼は相手が飛び込めない間合いで細かいタッチで前進する。背筋が伸びていてパスもあるしリズムチェンジで対角への突破もあるから、相手マーカーはウェイティングするしかない。

打開しているわけでも、誰かを置き去りにしているわけでもない、この距離十数メートルのゆっくりしたドリブルこそが極めて重要で、十数メートル分ラインを上げられチーム全体を前掛かりにさせる。久保が間を作っている間に、右SBマフェオに背後を走り抜け、左ウイングのダニ・ロドリゲスが中へ入って来て、トップ下のイ・カンインと1トップのアブドンが裏抜けを狙い、ボランチのガラレタが攻め上がるなどのアクションを起こせる。チーム全体の攻撃が活性化するのだ。

久保が不在の間にイ・カンインが台頭。似たようなタイプで併用が疑問視されたこともあったが、まったく問題はない。

トップ下にイ・カンインを置いて爆発的なアクションを任せ、右に久保を置いて間を作らせれ、対角侵入をさせ、センタリングをさせればいい。イ・カンインの瞬間的で速いアクションはスペースのない中央でこそ生きるし、久保のオールラウンドのテクニックは、スペースのあるサイドの方が生きる。この2人とダニ・ロドリゲスが今のマジョルカで代えが利かない存在だと思う。

次節アトレティコ・マドリー戦(12月4日)、チームに与えるインパクトの大きさを考えると先発させたいところだが、監督がどう考えるか? いきなり楽しみになってきた。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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