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ルイス・エンリケ監督
「1試合負けた途端に、『食人族』がまたやって来るよ。大変ハードな映画だ。だが我われは重圧に慣れている」
こんなことを言うから、ルイス・エンリケは嫌われるのである。
14日夜スペインはスウェーデンに勝利しカタールW杯の出場を決めた。負ければ、予選以上に厳しいプレーオフに回っていたところ。監督ルイス・エンリケの進退も必ずや問われていただろう。
そんな大一番で土俵際に追い込まれながらも勝利。“良かった、良かった”で済ませばいいのに余計なことを言ってしまうところが、ルイス・エンリケである。“勝ったら喜び、負けたら怒る。メディアはしょせん結果論”と軽蔑を込めて皮肉っているのだ。
これ、「メディア」を「父兄」に変えれば、私が少年チームの監督時代に思っていたことと同じ。もっとも、私は心の中で言うだけだったが、ルイス・エンリケはちゃんと口に出している。
おめでたい夜ですら、メディアと和解するつもりはなかったようだ。
1カ月ほど前にはまた、こんなことも言っていた。
「(メディアの言うことには)まったく興味がない。読みも見も聴きもしない。サッカーについて私は君たちよりもはるかに知っているからね」
これもまったくその通りである。
レアル・マドリーとバルセロナでプレーしバルセロナで監督をしたルイス・エンリケと、せいぜいアマで齧った者が大部分のジャーナリストとでは、知識量も経験値も比べものにならない。
当たり前だ。監督が戦術、システム、練習メニュー、選手の配置、招集メンバー選び、先発メンバー選び、交代、戦術変更などすべての決断と、その結果に責任を負っているのに対し、ジャーナリストには何の責任もない。そもそも、監督とメディアではサッカーとの向き合い方と覚悟がまったく違うのだから。
ただ、そんな力量が異なる両者の間で「批評(しばしば批判)」というものが成立するのには、二つ理由がある。一つは監督も当然ミスを犯すこと、もう一つはメディアはそれを後から指摘できることだ。
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