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東京五輪を経て大きく成長してる久保建英
「クオリティだけの選手ではなく攻守のできる選手に、本物のサッカー選手になろうとしている」
エスパニョール戦の86分、久保建英が下がると、スペインの中継解説者がこの日の彼をこう総括した。まったく同感だ。
私の記憶に残るスペインでの久保のベストゲームは、2年前の7月アトレティコ・マドリー戦だった。翌日の『マルカ紙』は「アトレティコには久保のタレントが必要だ」なんて騒ぎ立てたものだった。だが、あれは3人抜きを見せるなど、チームが3-0と大敗する中、久保個人だけが輝いた試合だった。
その証拠に今、当時のダイジェストを見なおすと、久保が出て来るのは攻め込まれているチームメイトを見守る、彼の背中だけである。3人抜きのシーンは動画サイトで見つかるが、ダイジェストには出て来ない。
なぜなら、サッカーはチームスポーツで、久保の個人技は日本のファンには喜ばれるだろうが、マジョルカのスペイン人ファンにはいちエピソードであって、試合としてはアトレティコ・マドリーの大勝劇に過ぎないからだ。
で、今回のエスパニョール戦のダイジェストを見ると、久保が6度出て来る。決勝点のシーンではまったくプレーに関与していないが、マジョルカが一方的に攻め続けて勝った試合で、いかに久保の貢献度が高かったかの証明である。
個のスーパープレーよりもチームの勝敗が大事で、個のプレーはチームの勝利に貢献してこそ評価される。アシストやゴールをするに越したことはないが、それをチームメイトに譲ったとしても個として輝くことは十分できる。この試合のマジョルカと久保は、そういうサッカーにとって重要なものは何か、何がチームや周りに評価されるのかを教えてくれる最高のテキストだった。と同時に、「久保のベストゲーム」として情報を更新しておきたい。
というのも、後半のボールがないところでのプレーが素晴らしかったからだ。
相手のボールロストを狙って詰めて行くプレー、危機を察知して下がり侵入を防いだり、パスをカットしたりのプレーが、54分、66分、70分、75分、78分、84分と立て続けにあった。そうして、58分と73分には低い位置に下がってドリブルで持ち上がったり、ボール出しを助けたりもした。
つまり、チームがボールを持てなくなった後半にも、彼は守備者として、そしてカウンターの起点としてチームの一員であり続け、チームを支え続けた。2年前にはあった、ボールが来ないから消える、ということが一切なかった。
3人抜きはクオリティがあればできる。が、ボールが無くても存在感をアピールできるのは、本物のサッカー選手だけだ。
先週のこのコラムで、久保の右サイド起用に関して「体力を攻撃だけに使っているわけにはいかない。特に、後半はきつい」と書いた。だが、その後半にあれだけ走れるのであれば、右サイドでも問題無い。
監督も攻守に計算できる彼をなるべく長くグラウンドに置いておきたい、と思うだろう。次の試合がますます楽しみになってきた。
文:木村浩嗣
木村浩嗣
編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。
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