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サッカー フットサル コラム 2021年1月15日

アリは使い方しだいでトッテナム再浮上の切り札になりうる

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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デレ・アリ

ケインとハイタッチするデレ・アリ(写真中央)

ノースロンドン・ダービーでアーセナルを0-2で退けた後、トッテナムの勝点が伸びていない。

リヴァプールとレスターに敗れ、ウォルヴァーハンプトンに引分け、3ポイントを奪ってしかるべきクリスタルパレス戦、フラム戦も1ポイントに終わっている。ノースロンドン・ダービー後の勝利は、リーズを3-0で破った1試合だけだ。

「順位表を気にするのは3月から」

ジョゼ・モウリーニョ監督が常日頃から語っているように、一喜一憂する段階ではまだない。だが、直近6試合はわずか7ゴール。頼みのハリー・ケインはPKを含めて3ゴール、ソン・フンミンは2ゴールと、前線の火力がやや落ちてきている。

また、ウルヴズ戦は86分に、フラム戦は74分に追いつかれたように、試合巧者モウリーニョのチームらしからぬ終盤の失点で、掌中の勝利を逃した。

「決定的なチャンスは4~5回あったのだが……」

モウリーニョのコメントがトッテナムの現状を如実に表現していた。

17試合を消化した段階の16失点は、アストンヴィラと並んでプレミアリーグ最少だ。エリック・ダイアーとトビー・アルデルヴァイレルトを軸とするDFラインはスピードに欠けるが、相手にボール保持を許した際は中盤センターのひとりが最終ラインに降り、4-5-1で構える。このフォーメーションが幸いし、トッテナムは傷口を広げずに闘ってきた。モウリーニョならではのゲームプランだ。コロナ禍では現実的に──という指摘も少なからずあるのだから、考え方としては間違っていない。

ただ、タイトルを獲得するためには、敵を圧倒するようなゲームプランも必要で、ケインとソンの火力に再点火する人選も考慮すべきではないだろうか。

例えばデレ・アリである。昨年夏からパリ・サン・ジェルマンへの移籍が噂され、つい先ごろトッテナムの前監督マウリシオ・ポチェッティーノが新指揮官に就任したため、交渉成立間近なる報道まで飛び出した。

しかし、双方の接触はいまのところ確認できず、ポチェッティーノ監督がアリに興味津々だったとしても、パリSGは余剰戦力の整理を優先している。しかも二列目は飽和状態だ。アリにとって好ましい環境ではない。

また、彼自身も「トッテナムで勝負」と腹をくくっているという情報が多くを占めつつあることから、現時点では残留の線が非常に濃い。

モウリーニョが求めるプレー強度に達していないとはいえ、アリのプレービジョンはリーグでもトップクラスだ。使い方しだいでトッテナム再浮上の切り札にもなりうる。

2016―17シーズンのプレミアリーグでは18ゴール・7アシストを記録。チャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献した。ことし4月で25歳。ここ1~2シーズンの失敗と向き合いつつ、完全復活を期す時間は十分すぎるほど残されている。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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