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オーレ・グンナー・スールシャール監督
「目を覚まさなくてはならない」
クリスタルパレスに1-3で敗れた後、マンチェスター・ユナイテッドのオーレ・グンナー・スールシャール監督はこう言った。
だれに言っているのか!? 敗因はスールシャールである。例によって、明確なゲームプランを構築できずにいる。選手個人のコンディションにすがる悪癖が解消される気配は、まったくない。
スールシャールは、準備不足に気づいていなかったのだろうか。8月17日に2019-20シーズンが終了し、15日間の短いオフを挟んで9月2日にトレーニング再開。ところが、5日後にはインターナショナル・ウィークを迎え、多くの選手がチームを離脱。いつもの顔ぶれがキャリントンの練習場に戻ったのは、クリスタルパレス戦の3~4日前のことだった。
新シーズンに向けた準備期間が一週間足らずでは、まともなパフォーマンスなど期待できるはずがない。
それにしても、ヴィクトリアのコンディションは酷すぎた。ウィルフレド・ザハのスピードについていけず、3失点すべてに絡む絶望的すぎる低調だった。
また、ポール・ポグバも著しく精彩を欠いた。新型コロナウイルスの陽性反応によるトレーニング不足なのだろうか。さらにデイビッド・ジェームズは、前半だけでボールロスト7回、クロス成功率はゼロ。現時点の序列は前線の5~6番手だ。今後の補強しだいでは戦力外通告、もしくはローン移籍も考えられる。
フルシーズン・フルスロットルが可能なクラブはひとつもない。リヴァプールも、ヨーロッパ・チャンピオンのバイエルン・ミュンヘンも、バッドコンディションを余儀なくされるケースがある。
しかし、両クラブとも監督が明確な戦術を落とし込み、選手が実行して難局を乗り越えてきた。残念ながらスールシャールには “色” がない。主力がコンディションを崩したときの対応策も持っていない。
昨シーズン、ブルーノ・フェルナンデスの大活躍で3位に入ったとはいえ、“救世主” が疲労した昨シーズン最終盤のチームパフォーマンスは、今シーズンの開幕戦を暗示していた。主力のコンディションが上向きさえすれば──との期待はあるものの、それでは安定感が望めない。
ジョゼ・モウリーニョの(現トッテナム監督)退陣後のユナイテッドを率いておよそ1年9か月、スールシャールは大きなプラスアルファをもたらしただろうか。答は「NO」だ。今後、大仕事を成しえるだろうか。こちらも「NO」だ。
いま、ユナイテッドは左サイドバックとウイングに即戦力を獲得しようとしているが、だれもが納得する一線級がやって来ても、監督が無策では宝の持ち腐れだ。
スールシャールにはある程度の時間が与えられた。次節のブライトン戦も開幕節とさして変わらない試合内容であれば、仮に勝利を収めたとしても上層部は厳しく審査するべきだ。
スールシャールは、ユナイテッドを治める器ではない。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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