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サッカー フットサル コラム 2020年4月17日

ニューカッスルにも長期的スパンの強化計画が必要だ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ニューカッスルの選手達

強欲で知られるマイク・アシュリーになにが起きたのだろうか。みずからが所有するニューカッスルの売却を、ついに決心したようだ。

『BBC』(英国公共放送)によると、ニューカッスルのオーナーは女性実業家のアマンダ・ステイプリーと合意。3億ポンド(約404億円)で手放すという。この案件はプレミアリーグにも通知され、来週中にも公式発表される見込みだ。

それにしてもアシュリーは、毎シーズンのように売却をちらつかせてきた。2007年、ニューカッスルを買収したにもかかわらず、一年後には『アブダビ・ユナイテッド・グループ』(ADUG)と接触。同社がマンチェスター・シティに方向転換したため、アシュリーの目論見は崩れた。

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また、その後も何回か買収が現実味を帯びたものの、交渉成立寸前のところで翻意したり、金額を大幅につりあげたりして、周囲のヒンシュクを買ってきた。

直近一年でもステイプリー(前出)、ボクシング界の超大物フロイド・メイウェザー・ジュニアとの交渉が発覚。「今回も売る売る詐欺」と思われたが、諸条件に満足したのか、アシュリーはようやくニューカッスルのオーナーから退くことになった。

しかし、買収の効果がいきなり現れるわけではない。ニューカッスルのステイタスは、現地点でそれほど高くない。ビッグネームの興味を引くにはやや地味な印象があるため、やがて訪れる2020-21シーズンも、あっと驚くスーパースターが加入する可能性はかなり低い。

12年前のシティもそうだった。『ADUG』の買収で潤沢な資金が用意されていたが、スーパースターは見向きもしなかった。監督には凡庸なマーク・ヒューズが起用されている。一年後にカルロス・テベスがマンチェスター・ユナイテッドから、エマヌエル・アデバヨールがアーセナルから移籍してきたとはいえ、プレミアリーグを代表する強豪に成長するまで、そこそこの時間を要している。

ましてニューカッスルは暖かな期間が少なく、寒い日々が長く続く。この環境は選手にとって、彼らの家族にとってなかなかの強敵だ。遊興施設が限られているため、フットボールに没頭する生活なら耐えられるかもしれないが、留守を預かる家族にすればストレスが溜まる。生活するうえで便利なロンドンに比べると、ニューカッスルの住環境は好ましくない。

したがって、新オーナーとなる予定のステイプリーとニューカッスル・サポーターは、ある程度の辛抱が強いられる。現時点でビッグ6とは実力差があり、ここに好ましくない住環境が入ってくると、今夏の移籍市場で即戦力を獲得するのは至難の業だ。シティが10年近くかけて現在の地位を勝ち取ったように、ニューカッスルにも長期的スパンの強化計画が必要だ。

現有勢力を見直し、野心あふれる監督、コーチ、スタッフ、選手を揃えよう。急がばまわれ──。いまは焦らず、あらゆる面を一つひとつ丁寧に整理していくべきだ。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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